キリ番35000(ゆり様)……カヲル/甘
日曜日のある日の事だった。
今日は何もない休みの日、私の携帯に一通のメールが届く。
画面には「渚カヲル」の文字。
その文字を見た瞬間メールを高速スピードで開き内容を確認した。
「……デートのお誘いだ!!」
お得意の前口上と本題の内容が書いてあるメール。
前口上はいつもの天気の話やら気温の話で。
内容は「こんな天気のいい日だし一緒にお出かけにいかないかい?」と一文。
もちろん返信はOKで。
しばらく彼と待ち合わせの場所を決めたりくだらないことを話してメールを終えた。
時間までダラダラしておくか、それとも何か準備をするかでかなり迷ったけれどちょっとしたものを作り、待ち合わせの場所まで向かった。
「やぁ、突然誘って悪かったね。」
「ううん、すごく嬉しい!」
カヲルくんとはたまに出かけたりとかはするけれど、実は付き合ってはいない。
だからこうやって、他の誰かではなく私の事を誘ってくれるのが本当にすごく嬉しくかんじる。
彼は口元だけで優しく微笑むと何かのチケットを取り出して私へと渡してきた。
「世界の犬猫展?…………なにそれ行きたい!!」
私の頭の中は一瞬にして犬や猫に囲まれる想像をしてテンションが上がってしまった。
そんな私を見て、君を誘ってよかったよ、とまた優しく笑うものだから
なんだか少し恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、早速いこうか。」
「うん、すぐ行こう!今行こう!」
恥ずかしさはどこへやら。好きな人と一緒に好きな場所へ行けると思うと
やっぱりテンションが上がってしまい結局いつもの私に戻ってしまった。
どうやらその世界の犬猫展は待ち合わせ場所に近かったらしくすぐについてしまう。
もう少しゆっくり話しながら来たかったなぁ。
そこの場所までエスカレーターで行き、展示場所までついた。
専用に作られた犬や猫が印刷されたゲートをくぐり抜けるとそこは天国でした。
「あああああああああ……」
「ふふ、落ち着きなよ。」
ゲージが沢山並べられ、その一つ一つに犬や猫が入れられている。
そのゲージからは時々元気になく鳴き声がしたり、ウロウロとする姿が見える。
まずは近くにいた猫に目線を合わせるとこちらに近づいてきたので
指をゲージのガラスに当て滑らせると、その指の方へついていく。
そして指をちょいちょいと触るような動作で手を必死に動かす猫。……可愛すぎる。
「カヲルくん、ここで私が死んだら世界初の死因:萌え死にかもしれない。」
「それは、……新聞に載りそうだね。」
猫を見ながら言っていたのだけれど、ちょっとどう返事をすればいいかわからないというような声色で返されてしまった。
顔を見ていなくて良かった。
次に犬を見てみるとダックスフンドの子犬がボールに齧り付いて遊んでいた。
「わ、見てみて!子犬!へー、ダックスフンドってドイツの犬種だったんだね。」
「確か狩猟犬だっけ?……ああ、そうだね。可愛い顔をして、やるときはやるというやつだね。」
「なんだか、やるが物騒な言葉に聞こえてきた。」
そして二人でドンドンとまわっていたけれど、少し気になったことがあった。
カヲルくんが私の後ろをついてくるように一緒にまわっているのだ。
「カヲルくん……、もしかしてつまらない?」
「ん?いや、そんな事はないけれど、何故だい?」
「いや、だって食いつくように見ていないし……私ばっかり興奮しちゃってるから……。」
「ああ、君という小動物のような子も見ていたいなって思ってさ。だからちょっと後ろからついていたのさ。」
「しょ、小動物じゃないもん!動物見ようよ!」
「あはは、ごめんごめん。気をつけるよ。」
そんなにはしゃぎまわっていたのだろうか。まさか私まで観察されているとは思わなかった。
気をつけるよってもう見ないってことなのかな。
……そう思うとちょっと見ててもいいんですよ、なんて思ってしまったり。
乙女心は複雑なんですよ。
「あ、あそこに動物ふれあいコーナーがあるみたいだよ。」
「へ?!おさわり自由なの?!」
「うーん……、その言い方だと語弊がある気がするけれど。まァ触れるみたいだよ。行くかい?」
「行ってみたい!」
特設ブースのような場所があり、その中に犬も猫も一緒にいるようだ。
ブースの外に犬と猫の説明と入るためのルールみたいなのが書いてありそれをしっかりとよむ。
人はちょうど切れているみたいで、すぐに入れるようだった。
「2人いいですか?」
「あ、はい、どうぞ!時間は10分ですがよろしいですか?」
「はい!大丈夫です!」
「じゃあ、そこで靴を脱がれて入る前に手をアルコールで消毒をお願いします。」
スタッフのお姉さんに言われたとおり靴を脱ぎ、アルコール消毒をして中へと入った。
中へ入るとすぐに少し大きい犬が寄ってきて足元を嗅いできた。
「く、くすぐったいよ!」
「ふふ、いい匂いがするのかもね。」
カヲルくんはテーブルがあったので、私と真正面になるようにテーブルの横へと座った。座ると同時に肘をついて私の足元にいる犬を見ているようだった。
私も座り、荷物を置くとさっきの犬が足元だけではなく色んなところを嗅いできた。
こう人懐っこいと撫でたくなるので、手を伸ばし体に触れてみる。
ふわっとした手触りに思わずにやけてしまう。
「もふもふ……っ!」
「今もふもふされているのは君の方だろうけれどね。」
「もふもふって程、毛深くないし私もふもふしてないよ!」
「柔らかさ的に。」
「真顔で言わないでよ……っ!」
私カヲルくんに触られたことないよね?!っていうかなんて恥ずかしい事をさらっていうんですか!
首の下から顔にかけて熱が集まる。
「おや、……バッグに何か入っているのかい?犬とか猫が集まってきているよ?」
「え。」
カヲルくんから言われて自分のバッグへ目線を移すと猫が顔と手をバッグの中に突っ込み、犬がバッグをしきりに嗅いでいた。
しまった、この中にはカヲルくんに渡す用のお菓子が!
「これはこのお兄ちゃんのなんだよ!」
焦って猫を抱っこして退かせてバッグをもってカヲルくんの後ろへと隠れる。
それをみて鬼ごっこのように遊んでもらえると思ったのか私たちの方へと走って突進してきた。
「うわ!」
「きゃっ!」
もちろん被害を被ったのは私が盾にしていたせいでカヲルくんで。
そのカヲルくんは油断していたのか犬から押し倒され、私の胸元にぽふんと倒れ込んできた。
私の胸あたりにあるカヲルくんの頭。その顔は私を見上げ何が起こったのかわからなかったのかポカンとしていた。
グイグイと押されながらその顔を犬にペロペロとずっと舐められていた。
なんだか凄い面白い図だった。
「わ、ごめん!すぐ退くよ!……く、この犬重い。」
「かなり力入れて押し付けてくるよね……。」
私にまで押さえつけている力が伝わってくる。
わざとではないから、怒ることもできず、しかも顔をかなり赤くしているカヲルくんを見てなんだか愛しく思えてきた。
「ふふ、よーしよし。」
「それは、僕の頭だよ……。」
少しすねたかのような表情を見せた彼。
今日は彼のこんな珍しい顔も見れたし、連れてきてくれたカヲルくんと恋のキューピットになってくれたワンコくんに感謝!
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キリ番35000 ゆり様リクエスト
もふもふ夢でした。
ジャンルはもふもふです。
もふもふ愛しか感じられないような夢小説です。
お相手はもふもふです。うるさいですか、すみまもふもふ。
リクエストありがとうございました!
もふもふをリクエストされるとは思ってもみませんでしたw
だがしかしこういうリクエストほど燃えます。
ワンコもにゃんこもカヲルももふもふ!
……もふもふ、と思い画像けんさくで「もふもふ 動物」と検索してしばらく小説書かずに画像ばかりみてました。