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  キリ番30000(ハルカ様)……カヲル/学パロ/甘


「そうだ、京都に行こう!」


なんて、私は元ネタを知らないのだけれどミサト先生がそう叫んでいた。
私たちの修学旅行の旅先、京都。色々日程を決めて、とうとう修学旅行となった。

……、というか昨日からだけれど。
昨日は全体行動で金閣寺に行ったり、清水寺に行ったりしたけれど、二日目は自由に班で行動していいことになっている。


「いい天気になったね。旅行日和だ。皆の普段の行いがものをいったね。」

「うっさいわねー、年寄りくさいこと言ってないで早く行くわよ!タイムイズマネー!時は金なり!鐘をならすなら神社にさっさと行かないとね!」


私達の班のリーダーはカヲルくん。なのだけれど、アスカちゃんが影の支配者みたいになっている。

しおりを開いて今日周るところを確認する。


「それよりバスのチケットを買おうよ、なんだっけ、1Dayチケットだっけ?」

「私も賛成。」

「私も碇くんと綾波さんに賛成!早く買いに行こうよ、アスカちゃん。」

「そーね!これだけ人がいるんだもの、売り切れる可能性だってあるわよね。」

「それはないと思うけれどなァ……。あ、チケット売り場はあちらみたいだね。」


そちらをみるとバスセンターのチケット売り場は人でいっぱいだった。
私たちはちゃんとチケットを買い、バスへと乗り込む。
席は空いていないようで4人とも立っていたけれど。


「今回嵐山がいけないのは残念だったね……。」

「しょうがないじゃない……、このチケットじゃいけないんだから……。」

「最初はどこに行くんだっけ?」

「縁結びの神社ね。特に名前はしっかりお祈りしなさいよ?」

「おや、名前は好きな人でもいるのかい?」

「ア、アスカちゃん!!」


思わずバスの中だというのに大きな声を出してしまいハッと口元を押さえる。
周りを確認すると何人かが怪訝そうにこちらを見ていた。

すみません、とお辞儀だけしてそのあとは皆で静かにしていた。


「ふう……やっと着いたね……縁結びの神社。」

「『じしゅ』神社と読むみたいだね。ここは。」

「えー?!『じぬし』神社って読むんじゃないの?」

「私も地主だからじぬしって読んでた……、じしゅだったんだね。」

「ここの階段を上った場所に縁結びの石があるみたいだね。」


カヲルくんが先陣を切って歩き出したので皆もそれに続き歩き始めた。
ここの説明をパンフレットなしで言ってくれるカヲルくんにかっこいいなあ、なんて思いながらぼんやりと見ていたらアスカちゃんから横腹を肘でツンツンとされた後ニンマリと笑われた。

うう、見すぎてましたか……。


「あれだね、恋占いの石。あれの石から石まで目を瞑っていけたら恋愛成就するんだよ。」

「あ、ホントだね。確かに離れたところに同じ石があるや。」

「目を瞑っていける距離ではなさそう……。」

「じゃあ、名前が一番最初ね!」

「えぇ?!」

「そうか、確かに好きな人がいるならばそうしたほうがいいね。」


カヲルくんまでそんな……。
恋心を寄せている本人に目を瞑って歩いているところを見られるのも恥ずかしいけれど、……なんだか失敗したら、本当に終わりなような気がして……。

ちらりと皆をみても「どーぞ」と言わんばかりのまなざしで見てくる。
覚悟を決めるしかないか……。

目を瞑り、前へと進む。どうやら、周りの人もよけてくれているみたいで誰ともまだぶつかっていない。

……まだ?石につかないの?石まで着いたらどうすればいいの?こけない?

そんな不安がよぎり、目を開けたかった。


「……おっと。」


どん、と体に衝撃を受けた。
――だ、誰かにぶつかってしまった。


「ご、ごめんなさいっ!」

「いや、大丈夫だよ。」


目を開けるとキラキラと太陽に輝くアッシュグレイの髪を持った美少年がそこにいた。
ていうかカヲルくんだった。


「――っ?!え、あれ、石は?!」

「ずいぶんと道を外れていたからね。僕が止めさせてもらったよ。」

「うそ……。」


あたりを見回すと道を左に外れ、しかもしばらく歩いていたようだ。
……もっと早く止めてくれればいいのに、カヲルくんのいじわる……。

その本人も楽しそうにくすくすと笑っている。


「な、なんで笑っているの……?」

「いや、君がお目当ての恋愛成就の石より僕を選んでくれたことがうれしくてさ。」

「っ!」


カアッと顔が熱くなった気がした。まるでそれは私が彼の思い人なんじゃないかと錯覚するような言い方だったから。
……そして私はふと気づく。


「あれ?皆は?」

「それが……、いつの間にかいなくなっていてさ。このあたりをうろつくとはメールが来たんだけれど……。」

「アスカちゃんの仕業だ……。」

「リーダーの僕が一緒じゃなくていいのかな?」

「裏のリーダーのアスカちゃんがいるから問題ないと思う。」

「それもそうだ……。じゃあ僕たちも二人でその辺を歩くかい?」

「う、うん!」


これは思ってもみない提案だった。いや、アスカちゃんがそうさせたのかもしれないけれど。
カヲルくんはあっちにいってみようか、と目で合図を送ってくれたので私も笑顔で頷くと彼は少しうれしそうな顔をした。

私たちは次にその隣にある場所に向かった。


「おかげ明神?おかげってあの『おかげさまで』ってことなのかな?」

「昔は『御陰様』といってね。幽霊や神霊の加護をうけている、ということなんだけれど
君のいう通りのおかげ明神だったら神様の加護が受けれる、なのかもしれないね。」

「それはぜひともお祈りしなきゃね!」


私はお財布から5円玉を取出し、カヲルくんとのご縁が深まりますように、と賽銭箱の中に入れてから手を合わせた。
カヲルくんも同じようにしたようで私が目をつぶったときにちゃりんと賽銭箱の中から音がした。

片目だけをあけてチラリと彼の顔を盗み見ると真剣になにかお願い事をしているようだった。

何をお願い事しているんだろう?
というかカヲルくんは本当にきれいだな、肌も透き通るように白いし髪もサラサラで細いし、無駄な筋肉ついてないし……まるで彼がまさに神様みたいなものじゃないだろうか。
……いや、どちらかというなら天使かな。
――なんてぼんやりと見つめながら思っていたら私とカヲルくんの目があった。


「お願い事終わったかい?」

「あ、う、うん!カヲルくんはなんてお願い事をしたの?」

「無病息災かな?何も思いつかなかったよ。」

「ああ、うん、いいね。私なんか私利私欲って感じのお願い事だったよ。」


と言葉を続けようとしたら口元に彼の人差し指が当たった。
思わず私は言葉を止める。


「願い事はヒトにいうと叶わないらしいよ。」

「え?!じゃあカヲルくんは病気にいっぱいかかっちゃうじゃん……!ごめん!」

「ふふ、病気にかからないなんて無理なことだよ。ほかの体調管理は自己責任だから少しばかり気をつければいいことさ。だから心配ないよ。」


そういいながら彼は携帯を取り出すと、何か操作をしだした。
もしかしてアスカちゃんかな……?


「シンジくんたちはあっちにいるらしいね。僕たちも合流しようか?」

「う、うん……、あ、次、お祈りすることがあったら私に教えないでね……?」

「どうして?」

「カヲルくんのお願い事かなわなくなっちゃうから。」

「……そうだねェ……、でも次のお願い事は君にしか叶えきれないんじゃないかな?」

「……え?」


そして彼はその天使のような笑顔で私だけに微笑んだ。


「また、名前だけとゆっくり京都を周りたいな。僕のお願い事。」


――あぁ神様、今日ばかりはあなたの存在、信じちゃいました。




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キリ番30000 ハルカ様リクエストでした。
キリ番報告&リクエストありがとうございました!

修学旅行に京都という面白いリクエストをいただきました!
すっげえ楽しかったです。
あと管理人、京都大好きです。第二の故郷です。というほど旅行にいってないけれど。
いろんなところを周らせてとんでもない長さになりそうだから今回は恋愛成就の神社だけにしました(今回「は」?)

ハルカ様、こんな素敵なリクエストありがとうございました!
やっぱりみんなこうやって幸せに普通の中学生になってほしいですよね。
あと、暴走できませんでした…(笑)


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