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  キリ番29000(ま様)……カヲル/ギャグ甘


「ああ、愛しい愛しいカヲル様!何故貴方は使徒なのですか!」


そんなセリフを悲劇を演じるかの様に手振りを交えて彼に伝えてみる。
セリフが聞こえたのか雑誌を見ていた彼がぽかんとした顔でこちらを見ていた。


「い、一体突然どうしたんだい?」


普通に引かれてしまった。そんな貴方に私は惹かれているんですけれどね!
カヲルくんはパタリと音を出しながら雑誌を閉じた。どうやら私と会話をしてくれるようだ。

カヲルくんは私の部屋のベッドに腰掛けていたので私も隣に座る。


「なんとなく愛を叫びたかったのです。」

「愛、かァ……そういえばさっきのセリフはシェイクスピアのロミオとジュリエットかい?」


そんなつもりはなかったけれど、確かに思い返すと似たようなセリフになっていた。
隣の使徒は人間くさいものも知っているのか。
ロミオとジュリエット……確か敵同士で最終的に自殺をしてしまうという話だったよね。


「使徒と人間……、敵なのかな……?」

「敵ではないよ。僕らは君たちを知ろうとしているだけさ。あと……、君を自殺なんてさせないよ。」

「じゃあ……、私はどうやって死のう?」


馬鹿な質問をしたもんだ。
そんなの答えに困るなんて誰でもわかるのに。
それでもカヲルくんは真剣に考えているようで私の顔をジッと見つめている。
彼はどんな死を望んでくれるのだろうか?


「……腹上死?」

「カヲルくん、変な知識つけないで!ばか!えっち!」


不名誉すぎる!そんな死に方!自殺のほうがまだマシだ!!
私の反応が好きだったのか、雑誌で顔を隠しながら笑っている。
……ていうか知ってたのね、腹上死とか。どこから仕入れたの、そんな言葉。


「冗談だよ、そんなに怒らないでおくれ。そんな顔をさせたのが、僕というのは嬉しいけれど、可愛い顔が台無しだよ?」

「かわいくない。」

「可愛いよ、名前は十分すぎるくらい、可愛い。死なせたくないくらいにさ。」


彼は指を伸ばし私の髪を私の耳へとかける。
カヲルくんの指先は少し冷たくて小さく肩が跳ねる。


「もし死ぬのなら自然死でお願いしたいな。」

「自然死?地震とか竜巻とか?」

「そんな悲惨な事は望んでいないよ……。」


彼は苦笑いをした。おや、間違ったのかな?
彼に聞いてみると自然死は老衰で亡くなる事だった、ふむふむ、勉強になった。
確かにその自然だとかなりグロイ事になりそう……。


「じゃあカヲルくんの隣で。カヲルくんがシワシワのくちゃくちゃになっても傍にいるから……カヲルくんの隣で自然死させてね。」

「……しわくちゃなら分かるけれど、シワシワのくちゃくちゃだと別の状態になってそうだよね、僕。なんかお湯攻めにでもあってそう。」

「それ多分、普通に温泉に入っているんじゃない?」


温泉に入ってる横で死にかけるとかどんなシュールな状態なんだ、私。
カヲルくんも同じことを考えたらしく、また喉を鳴らしクツクツと笑ってツボに入っていた。
今日は上機嫌だ。


「しかし……、なんかカヲルくんの老け顔を想像出来ない。」

「僕はできるよ?名前はきっとちっちゃくて可愛いおばあちゃんになるんだ。」

「やめて!すっごい恥ずかしくなるから!」

「そう?ニコニコしてそうだよ?」

「幸せそうなおばあちゃんだ!」


好きな人に自分が年老いた姿を想像なんてされたくない。
しかも相手はもしかしたら年を取らない可能性だってあるんだ。人間じゃないし。
そんな色んな想像を振り払いたくて「ふん!」と叩きつける動作をする。
もちろん叩きつけれたのは空気だけだけれど。


「名前……?」

「ん?なんでしょう。」

「ただ一言、僕を恋人と呼んでおくれ。そうすれば、僕は新しく生まれ変わったも同然。
今日からはもう、使徒ではなくなるよ。」

「え?」

「セリフの続きさ。」


どうやらカヲルくんはロミオとジュリエットのセリフを言ったらしい。
でも私有名なセリフしかしらないんだよね……。

うーん、と悩んでいると顔に冷たいものがあたる。彼の手だ。


「続きのセリフよりも、僕は名前の言葉を聞きたいな。」

「カヲルくん……。カヲルくんはずっと前から私の恋人でしょ?貴方が使徒とわかっても私はカヲルくんが好きだったから離れなかったんだし。
ずっと傍にいて、ずっと監視して、ずっと離さないんだから。」

「……なんだか少し怖いことが聞こえた気がするけれど、ほどほどにお願いするよ。」


添えられた手が私の顎を持ち上げ、上を向かされる。
それと同時に彼の顔がゆっくりと降りてきて私の唇に彼の唇が落ちてくる。

敵同士なんて、こんなに切なくて甘いものなのだろうか。
そんな事を考えながら、すべてから目を背けようと思って目を閉じた――。



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キリ番29000 ま様リクエストでした。
キリ番報告&リクエストありがとうございました!
冬月夢を頼まれるとは夢だけに夢にも思って…え、ちがう?
ギャグ甘カヲル夢でした。

ギャグ……?ギャグ??
気をつけろ!この管理人はギャグがゆるいぞ!




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