誰でもこういった診断や心理テストなどしたことがあるんじゃないだろうか。
学校や合コンとかでも知っていて話のネタになる。

私の周りでは最近流行りつつある。

仕事の合間、少し時間があくと時間つぶしにと話しかけてくる同僚。


「ねー、ねー、心理テストしよう。」

「うん、いーね。私、今暇してたとこ。心理テストを『違うじゃん!』っていうのが最近の私の楽しみ」

「ちょ、どんな楽しみよ。」


同僚は笑って私の方へとゴロゴロと椅子を転がしてくる。
私もちょっと近づいてあまり声を上げないように二人、ある程度、顔を近づける。


「今回は恋愛心理テスト!」

・デートの最中、急に雨が降ってきました。
あなたは近くの店に飛び込んで、一本の傘を買いました。何色の傘を選びましたか?
そして、あなたは急いで恋人のところに戻り、その傘をさしかけてあげました。そのとき、恋人は、どんな表情をしましたか?


「うーん、ビニール傘かな……無難に。コンビニとかで売ってあるだろうし。
恋人の表情……?」


自分の恋人の顔を思い出す。
―多分、微笑むだろうな。彼は私より年下なのに、すごく大人っぽくいつも微笑むんだ。


「君が濡れてしまうよって、微笑むかな…多分、渡した傘をもどしてきそう」

「ぶっ!」

「うわ!きたな!何すんの!」

「いや、…ごちそうさま…!」


身体をくの字に折り曲げて爆笑を堪えている彼女。
一体なんだというのだ。


「で?解答は?」

「……傘は自分を守る大切なもの。
つまり、名前がとっさに選んだ傘の色は、『あなたが一度ははいてみたいと思っているパンツの色』。
恋人の表情は、もちろん『あなたがそのパンツをはいて見せてあげたときの相手の反応』………らしいんだけれど、アンタの解答最っ高…!」


・傘の色→ビニール(透明)
・相手の反応→君が濡れるからと拒否


「しにたい」

「だっはっはっは!ドン引きされないように注意しなよ?あー、いい時間つぶしになった…」


目の端にたまっている涙を彼女はぬぐうと自分の定位置までゴロゴロと
音を立てて帰っていった。

くそう…、帰って彼の顔をみれない…。


そんなこと言ってても時間はすぎるもので。
夜、少し遅くなって家に帰ると私の部屋は電気がついている。

急いで階段を駆け上り、ばん、とドアを開ける。


「毎回思うのだけれど、別に僕は逃げたりしないよ、おかえり、名前。」

「た、ただい、ま、カヲル!」


家のドアをあけると私の彼氏がエプロンをつけて、鍋つかみをつけて玄関に立っていた。
学校の帰りによってくれて、こうやって私の家でご飯を作って待っていてくれる。

週末には泊まりにきたり、とあるけれど、もちろん、さっきの心理テストの
場所までいきついたことはない。

なんせ、彼は中学生なのだ。私は社会人。


「今日は少し遅かったんだね。ご飯はもうすぐできるよ」

「ちょ、ちょっと傘が目に入るたびに……」

「傘?雨でも降っているのかい?」


彼が私の後ろへと周り、私の上着を脱がしてくれる。
その時に小さくリップ音をたてて首の後ろにキスをした。

さりげなく、そんなことする彼にカッと顔が赤くなる。


「う、ううん、雨じゃないんだけれど……あ、ねえ、カヲル、心理テストって知ってる?」

「知っているよ。選択肢があり、それを選んだら答えがでる、というやつだろう?」

「そう!それ、私、カヲルにしたいのがあるんだ。」


これも実は恋愛心理テスト。
スッとカヲルの前に左手をもっていく。


「私の、指どれか握ってください。」


自分の指へ集中する。
彼の指がふらふらと私の左手を左右に移動し、一瞬止まる。

―う、小指は一番嫌だ…!遊び相手、都合のイイ女とかだよ…!

カヲルの指はまた薬指の方へ戻り、次は中指にくる。

―そこは友達止まり…!私達恋人だよね…?!

動いて次は薬指に。

―そこ!そこ!メインはそこ!


「…っ」


かすかに漏れた声に顔をあげると顔を背けて笑う彼の姿。


「顔に全部出ているよ、薬指がいいのかい?」


私は口をあけてしまった。
しまった!私のバカ!
バレバレとか!彼の気持ちを知る、絶好のチャンスだったのに!


「僕は心配しなくとも、学校から帰る途中はずっと名前のことばかり考えてるし、
僕が週末をどれだけ待ち遠しくしているかしらないだろう?」


カヲルは私の手をとり、薬指にキスをおとした。
その場所は私が一番ほしかった答えで。


「カヲル…すき。」

「僕も、君が思っている以上に好きだよ。」


薬指にあった唇が私の唇と重なる。
左手は彼の指が優しく絡まった。








「ちなみにカヲル」

「ん?なんだい?」


彼の作ったご飯に舌鼓をうちながらちょっと気になることを聞いてみた。
ちなみに聞いてみるのはもちろんあのこと。


「私とのデートのときに雨が降ってきたよ。それで、近くのお店に入って傘を買いました。何色の傘を買った?」

「それも心理テストかい?……そうだねェ…透明の傘かな。手ごろな値段だし。」


今度は私が吹き出したのは言うまでもない。


「ちなみにちなみにカヲル」

「ん?なんだいなんだい?」



「私がノーパンでも引かない?」

「…………誘っているのかい?」


おわれ!



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