しばらく、私は寝付きが悪かった。
というのも隣に彼がいないというだけで寂しさにかられ、いつでも一緒に居たい、
そう思う自分が嫌になって何度か寝返りすると身体が起きてしまい深く眠れなかった。

「無理言ってごめんなさい…」
「無理はしていないよ。僕もたまに名前と夜にまったりと話しがしたかったからね」

布団に入り込む私は恥ずかしさで顔の位置までかけ布団をあげる。
彼の優しい真紅の瞳とかち合った。優しい言葉。

知ってる、私はこの人に依存してしまってる。
布団をポンポンとリズミカルに叩かれると少し、眠たくなってきた。
そばにいたら、安心する。

……と思ったら何故かリズムが狂いだした。
トン、……、トン、トン……、ん?と思って目をあけると
彼の方がゆっくりゆっくりと船を漕ぎ始めた。

(ね、眠かったのかな…?)

と心配になっていると、ハッ!とした顔をして目をあけ、
私の布団をまた叩き始めた。

「…………見てないで寝なさい……」

彼がこんな風にぶっきらぼうに言うときは大抵照れながら言ってる時。
クスクスと笑っていたら彼が目をそらし照れながら頭をかくと
私の隣にぼすんと頭を置いた。
目を白黒させていると枕に顔を埋め、

「早く寝ないと悪い使徒に食われちゃうよ」

とくぐもった声で言われたので、私はその悪い使徒さんを寝せるために背中をポンポンと叩くのでした。

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