返事が返ってこないまま日曜日を迎えてしまいました……。
うう、渚くんに顔を合わせづらい…、ああいうメールとか面倒で嫌いなのかな…。
悶々と考え込んでいたら教室についてしまった。
か、覚悟を決めて…!
「おおおおおはよう!!!」
「何キョドってんのよ」
惣流さんがいつものジト目でこちらをみてきた。
お、おはよー、惣流さん…
「きた早々悪いんだけれどさ、苗字さん、アナタ買い出し行ってくんない?コップとジュース足りなくてさ。
あ、あとお菓子ね!
シンジが食事は作ってきたのにお菓子は作ってきてなかったのよ〜。ホンっト、使えない男!」
「なんだよ、用意しろって言ってないのはアスカだろ……?」
「ぬわんですってぇ?」
「ふ、ふたりともッ、私買ってくるよ!どうせみんなが集まる時間まで結構あるし…!」
「ごめんね、苗字さん……」
「ううん!じゃあいってくるね!」
置こうとしていた荷物を手に取り、階段を降りていたら角から上がってきた
銀髪に思わず足が止まる。
―あの銀髪は渚くんだ。
どうしようと、あたりを見回しても階段の上なので隠れることもできず彼と目があう。
「あれ?どっか行くの?」
「う、うん。ちょっとジュースとコップとお菓子買いに……」
「ふーん。あ、じゃあ僕も一緒に行くよ。」
くるっと方向転換する渚くん。え、もう行くこと決定なの?
「あの、悪いよ!」
それに二人っきりだと余計にモヤモヤしたままだよ…ッ!
渚くんは聞く耳もたずって感じでスタスタと下駄箱まで歩いていく。
「それに僕、セカンドから主役は遅れてこいってメールが来ててね。返せてないけれど」
その最後の言葉に、おや?となる。そして渚くんは思い出したかのようにこちらを振り向いて近寄ってきた。
「そうそう!僕、君からのメールも返信しようと思ったんだけれど、これどうやって返事だすの?」
ぽんと私の手に黒い携帯が落ちてくる。えっと、要訳すると…
「も、もしかして私のメール返さなかったのも……」
「返し方わかんなかった。」
脱力ってこういうことをいうんだね…、肩ががくんと力が抜けた。
なんだ、よかった。そして渚くんらしい……。
手の中の携帯は黒いスマートフォン。電源ボタンをいれると初期設定っぽい感じの
画面が出てきた。メールの画面を出して……
「これ、新しい機種だね?」
「そうなの?よくわかんないから本部の大人に全部任せたんだよね。バッテリーがどうのとか、画質がどうのとか。僕、全部わかんなくてさ。なんでもいいよってね。」
「あはは、機種によっては全然違うからね。渚くんは写真とか撮らないの?」
「別にカメラとかあるんだから、携帯で撮らなくてもいいんじゃないの?そこらへん、リリンの不思議なところだよね。」
「でも、ほら、今撮りたい!あ、でもカメラ持ってきてないってならない?
それに私カメラ持ってないし……」
「便利さを求めたってわけだね。わからなくもないけれど……。ともかく今はそれよりメールの返信教えてよ」
―そうだった!
二人で近所のコンビニについたところに相田くんと遭遇した。
「おんやぁ〜、随分距離が近いですねー、ご両人」
「うわ!ああああいだくん!」
ばっと渚くんとの距離を離す。あ、と思った頃に顔を上げ渚くんの顔色を伺ったら
すっごく眉間にシワをよせていた。
そ、そうだよね、あからさまに避けてしまったらこんな顔しちゃうよね……
「なにやってるの?二人は」
「今日の歓迎会の買い出しだよ。僕は付き添い。」
「今日の主役なのにパシリしてるの?!渚はどれだけのM属性なんだよ!」
「渚くん、マゾなの?!」
「?マゾとかMとか何?なんかの性格?」
性格というか性癖というか……
そんなこんなで相田くんも一緒に手伝ってくれるということなので
私がコップ、相田くんがお菓子、渚くんがジュースをもって
学校に帰ってきました。
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