朝九時ちょうど。
携帯のバイブ音がなると同時に画面を確認する。
家の前に車を止めているらしく、出てきて欲しいというメールだった。
今日は晴天!キャンプ日和です。
「あの、よろしくお願いします!」
「はいはーい。よろしくねー。」
運転手の人は黒髪の長い髪を一つに纏めてポニーテールにしてた。
確か、アスカちゃんと碇くんの面倒をみていらっしゃるえっと、ミサトさん、という方。実は苗字を知らない。
ミサトさんは手をこちらに見えるようにフリフリと振っていた。
「今日はノースリーブなんだね。」
「カヲルくん、おはよ。うん、虫刺されとか気になりそうだけれどね……。」
「今日は、って?」
アスカちゃんが助手席から顔をのぞかせた。
大きな車で三列シートになっており、私の隣にカヲルくん、その奥に綾波さん。多分ネルフの方から乗り込んだからこの二人なのかな?
後ろは私の後ろが相田くん、真ん中に鈴原くん、奥に碇くん。
「昨日、カヲルくんと買い物にいったんだ。」
「そ。その時はスカートに上着だったよ。」
「アンタ達ホント仲いいわよね。他に行く人いないわけ?」
「セカンドやファースト誘っても断るだろう?」
「女子限定かよ。普通男同士いかない?」
相田くんが私とカヲル君の間のシートに顎を乗せた。
確かになんで女子限定なんだろう……、
というかもしアスカちゃんや綾波さんが一緒にいくと言ったら私は誘われなかったんだろうか……。
「やだよ、男子とは。余計なもの買いそうじゃん。」
「どアホ!お菓子やらトランプやらいるやろ!」
「え、そうなの?名前。」
「へ?!い、いや……私持ってきてないよ……?」
「トランプ等、大人数で集まってする遊びは大抵誰かが持ってきてると思う。このグループなら鈴原くん。トランプではなくて他の大勢で集まる場合のゲームを持ってきているのは相田くん。」
「たっまげたー!なんで綾波は俺がそういうゲーム持ってきてるってわかったの!?」
「勘。」
「ま、フィフスがそういう娯楽なんて知らなそうだけれどねー。シンジはお菓子担当よね?」
「別に、担当じゃないけれど、お菓子は僕が持ってきてるよ。」
「よ、よかったんだよね、持ってきてなくても……」
「名前はアタシたちが持ってきてない必要なもの持ってきてそうだから問題ないわよ。」
ほっと一息。でも多分必要なものだったら皆持ってきていると思うけれど……。
そうして談笑しながらキャンプ場へと何時間もかけて車は走っていった。
車が止まり、ドアを開けると夏の季節なのに涼しい空気が体に入ってきた。
空気がおいしいってこういうことをいうのかなって思いながら大きく息を吸い込むと
なんだか気持ちよくなった。
「空気、そんなに吸い込むの?」
「あ、綾波さん、見てたの……?うん、おいしいね、空気。」
「……空気がおいしいと感じたことはないけれど、澄んだ空気ね。」
「だよね!川が近くにあるからマイナスイオンが出てるのかな?」
「どうかしら……。でもこの近くは……。」
そう、綾波さんが言いかけたとき二人の名前が言葉にかぶさってきた。
どうやらテントを張るらしい。綾波さんに続きを聞こうとしたら行きましょう、と言われて結局聞けずじまいだった。
ま、まさかお化けが出やすいから涼しいってことを言いたかったのかな……。
男子たちがいうのと綾波さんがいうのは、この場合言葉の重みが違いすぎる……!
そんなモヤモヤしたままテントを立ていった。
テントは女子用、男子用で二つ。ミサトさんは車で寝るらしいです。
「オッケー、出来たー。」
「おおー…、こうやって見ると立派なモンやな。」
「男子ちょっと手伝ってー。」
「あ、わかった。トウジ、ケンスケ、渚。いこ?」
しばらくすると立派なテントが二つ出来上がった。
その後はご飯まで時間があるので自由時間となった。
綾波さんは木陰で本を読んでいる。
アスカちゃんと私は川で遊びたいのでテントでお着替え。
相田くんは写真で風景を撮っていて
碇くんと鈴原くんとカヲルくんは魚を釣っていた。
「さ!行くわよ、名前!あのスカシ野郎にいいとこ見せなさい!……ん?いいとこっていうかいいところ、かしら?」
「そ、そんなアスカちゃんみたいにスレンダーで出てるところは出てるわけじゃないし……。」
水着は実はアスカちゃんと見に行っていて買っていたんだよね。
元々スクール水着で行こうとしていたらアスカちゃんが
ある一定の大人しか食いつかないわよ、って言っていたので少しおとなしめの水着を買いに行ったのだ。
アスカちゃんは外に出ていったので慌てて追いかけるとカヲルくんたちのいる場所で止まる。
不思議に思いながらも近づくと「ん」と言いながら、私をぐいっと押し出した。
すかさず相田くんが写真を撮る。
「え?!なに?!アスカちゃん!」
「アピールしなさいってことよ。アタシちょっとファーストのとこ行ってくるわ。」
言うやいなやその場を去ったアスカちゃん。
ていうかアピールってまさかカヲルくんに?!こんな布面積が少ないのでどうやってアピールするの?!
なんて思ってたらカヲルくんが腰をあげて私の方へ歩いてきた。
「あは、その水着ヒモがほどけたら危ないね!」
「…………カヲルくんのエッチ!」
少し顔が赤く染まってたから可愛いとか似合ってるという言葉を期待したのに……!
カヲルくんの唐変木……っ!
この一件があったため今回のキャンプで少しでもカヲルくんをドキドキさせる、と
変な誓いを心の中で立ててしまった私でした。
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