「さっすが三馬鹿トリオ!アンタたちいつも一緒ね!」
途中で鈴原くんとも会い、鈴原くんも手伝ってくれるとのことだったから
教室で惣流さんに全部話した。
パワフルだなぁと相田くんが惣流さんを見て顔を赤く染めてた。
「さ!時間はあってないものよ!さっさと取り掛かりなさい!」
指示を飛ばす惣流さん。私はあみだくじで輪っか作りになった。
ちなみに輪っか制作は鈴原くんと渚くんと私。
黒板の飾り付けは惣流さんと綾波さんと洞木さん。(実質惣流さんの独壇場だけれど)
机の配置は碇くんと相田くんと加古さんと山岸さん。
何人かは途中で来てくれたりとかで結構な大人数となった。
「ね、鈴原くん、聞いていい?」
「なんや?わっか作んのに何かコツなんかあったか?」
「あ、違うの、えっと」
声をひそめると顔を近づけてくる鈴原くん。お、お…ち、近い。
なんだか恥ずかしい……
「あ、相田くんって惣流さんのこと好きなの……?」
「はぁ?あー、違う違う。アレは惣流の事を『女性エヴァパイロット』でしか見てへん。憧れみたいなもんや」
「そうなの……?なーんだ……」
細く切った紙を一枚取り前に作った輪っかと組み合わせる。
うーん、私遅いな……。あ、でも鈴原くんのちょっと汚い。
わ!渚くんの長いし綺麗!す、すごいなぁ…
「女子はホンマ、恋バナ好きやなぁ……」
「恋バナって何?」
今まで話には興味なさそうにもくもくと作業していた渚くんが口をひらいた。
「渚ってなぁんも知らんなぁ!恋バナっちゅーのは誰がどの人を好きぃ、とか、私あの人にほの字なのぉ、とかいう恋の話のことや!」
「恋バナはわかったけれど、ほの字って何?」
「だあああ!!お前との話は不毛じゃ!前に一向に進まん!」
「あはは。渚くん、ほの字っていうのは要するに誰かに惚れてる意味だよ。詳しい理由はしらないけれど多分、誰かに惚れているっていうのを分からせたくないから、伏せてそんな風にいったんじゃないかな?」
「ああ、なるほどわかりやすい。じゃあ苗字サンは誰かにほの字なの?」
「「ブーッ!!!!!」」
鈴原くんと同時に吹き出してしまった。
「ななななななにを……!」
「っちゅうか渚お前直球すぎるわ!聞いてたこっちまでビックリしたわ!」
「え?恋バナしてたんじゃないの?そういう話をするんだろう?」
「そおだけれど!!び、びっくりしたよ!ていうかなんで私?!同性の鈴原くんじゃないの?!」
「なんでそこでワシにまわってくんねん!」
「くぅおらああ!そこサボってンじゃないわよ!」
惣流さんから指さされて怒られてしまったので、一言謝ってから小さい声で話す。
「ち、ちなみに渚くんはいるの?誰か好きな人とか。もし教えてくれたら私も教えるよ。」
「好きって定義がまだよくわかんない。君たちには好きってなんなの?」
それって人を好きになったことがないってことなのかな?
「おっしゃ、ワシはノルマ達成。で、なんやったっけ?好きがどうのだったな。ワシはもちろん、守りたいと思うことやな!」
ふふん、と胸をどんと叩く鈴原くん。そういうの男らしくてかっこいいと思うよ。
きっと洞木さんの事を思い描いてるのかな?
……じゃあ私は?
「えっとそうだねぇ…、うーん、ずっと一緒に居たい、一緒に生きたい、って感じる人がきっと好きな人なんだと思う、よ…?」
「ま、人それぞれっちゅうことやな。ほれ、苗字、つなげるぞ」
「あ、うん。わ、長いね」
「僕には僕なりの好きがあるってことだね。やっぱ、学校って勉強になるや。僕のもつなげよ?」
白い手のひらが私の手のひらを覆い、少しドキリとしたら
いつの間にか手の中にあった輪っかが奪い取られていた。
渚くんはうまく輪っかの長くなった紐をまとめて惣流さんのところに持っていく。私たちも後ろをついていき惣流さんからの「ながっ!」というツッコミを3人にいただいた。
「ちょっとここ取るわね。……はい、アンタたちはこれをそっち側に飾ってちょうだい?こっち側は私とヒカリでやるわ。それが終わったら席についてて?そろそろ皆くるだろうし」
「ほいほい、ほんじゃ、ワシが椅子の上に乗るから苗字は椅子を押さえてくれんか」
「うん、わかった。」
「僕何すればいい?」
「渚は今日のメインだから座っててええんちゃう?」
「えー、じゃあさっきの話の続きしようよ。」
「お前も好きやなぁ…」
椅子の上からため息が落ちてきた。私もちょっと苦笑い。
渚くんってそういう話に興味があるんだね。
「じゃあさ、誰が好きというのは教えてくれなくていいから。
ねェ、鈴原くんは僕の事好き?嫌い?」
「はァ?!」
私もおんなじような声を出しそうになってしまってグッと飲み込む。
そ、そっか、碇くんと仲いいのも、鈴原くんにこうやって聞くのも
好きなんだね、男の人が。
なんか、渚くんなら許される気がするけれど……一部にはウケそうだし。
「お前なにアホな事聞いてんねん!!そういうのは女子に聞けや!」
「さっき苗字サンが同性に聞くものって言ってたろう?だから鈴原くんに聞いたのに。じゃあ、苗字サンは僕の事、好き?」
―あれ、嫌いって選択肢はないんだ?
「う、うん、好き、だよ。というか渚くんを嫌いな女子ってそういないんじゃないかな……?」
「そ?あは、僕モテモテってやつだね!」
「嬉しそうにすんな!このイケメンめ!」
「盛り上がってるねー、なになに、僕の話?」
「誰がイケメンじゃ、このメガネッ!」
「酷いなぁ、せっかく手伝いにきたのに。渚、手があいてるんだろ?僕椅子押さえとく役するから渚が上に乗ってよ」
「ラジャー。」
渚くんが聞きたかったのは、友達としての好きなのかな?
それとも、恋愛としての好きだったのかな?
「さあて!時間よ!歓迎会始めましょうか!」
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あみだくじは本当になった結果でした。
06