0505 22:12

見えてきた行き止まりに、腕を強く前に引かれそのまま壁に叩きつけられた。背中の痛みに顔をしかめる。
こいつ手加減なしで叩きつけやがった……!
痛む背中に米屋を睨み付けようと前を向く。米屋はおれの顔の横に手をつき、その黒々とした瞳でおれを見つめていた。その目の迫力に、おれはなにかを言う気力を削がれる。

ーーー怒ってんな、これ。

米屋は怒っている、らしい。
らしい、というのも心当たりが全くないからで、おれの頭のなかにひたすらはてなが浮かぶばかりだ。
猜疑いっぱいといった目にみつめられる居心地の悪さにみじろぎする。すると米屋はそれすらも腹立たしい、といわんばかりにおれの腕を壁についていない方の手でつかんだ。思わずいてぇよ、と声をあげるが、米屋は意に介すことなく、なにしてたわけ、と言った。 
「は?」
「なにしてた、って聞いてるんだけど」
米屋はいいながらおれをねめつけた。おれは再びはてなを飛ばす。
「なんの話してんの?」
思ったまま伝えれば米屋はおれをねめつけまま言った。
「さっき、あいつとなにしてた?」
あいつ、と、さっき、という単語から、一人の男が思い浮かぶ。納得すると同時に首をかしげた。
「何って、準備だけど」
「だったらそんなに近付かなくていいよな」
気を抜くと飲み込まれてしまいそうな色をした目がおれに迫ってくる。その言葉を聞いた瞬間、米屋がこうして迫ってきた理由を理解して、そしてその理解にまさか、という感想を抱いた。
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