0218 1833
※半獣化&ショタ化の二重苦
※ほとんど別人
※続きを大募集しています。
とある森の奥の奥。多くの木々のせいで日の光さえも届かないような場所に、ぴたりと立ち止まっている少年が一人。少年の頭には、みるからにふわふわとした黄色の毛並みの耳……キツネのもののようにみえます……がついていました。それは周りの音を全てとらえようとするかのようにぴくぴくと動いています。耳を澄ましてみても、ひゅうひゅうなる風の音と、それにがさがさ葉がゆれる音しかしません。
しばらくじっとそうしていた少年はふと顔を上げると、真後ろの茂みにゆっくりと歩いていって、またしてもぴたりと立ち止まりました。そして、すぅっと息を大きく吸い込みます。
「まこちゃん、みつけたでえ!」
その声に、しん、と一瞬森に静寂が広がります。たっぷり間をおいて、少年の目の前の茂みががさり、と動き、中から少年がでてきました。昔の貴族のような眉毛が特徴的な彼は、茂みの中に隠れていたせいで頭やら肩やらに葉がくっついています。わずらわしそうにそれをふるふると身体を振ることで振り払うと、その眉をつり上げて言いました。
「耳使うなんてズルい!」
ぷんぷんと言った形容詞が似合いそうな怒り方をしたまこちゃんは茂みからでて、少年の目の前に立ちました。少年はそれに言い返します。
「ずるいて、まこちゃんだって変化の術つかったやろ!ぜんぜん気配せぇへんのやもん!」
「しょうちゃんの探し方が悪いんやない?」
「悪ないわ!」
しょうちゃん、とまこちゃんに呼ばれた少年はそういいながらまこちゃんのほっぺたをぐに、とひっぱります。まこちゃんの頬ののびた顔がおかしくて、しょうちゃんはわはは、と声をあげて笑いました。
(略)
「おそろい」
まこちゃんは目を開くと得意げにしょうちゃんにそういいました。頭の上には彼と全く同じ、黄色のけものの耳がついています。
それにしょうちゃんは少しだけむっとした表情をすると、先ほどのまこちゃんと同じように目を閉じました。そして、ぽむんっと再び軽い音が響きます。
「まこちゃんのまね」
そういったしょうちゃんの頭には丸い耳がついていました。その形は狸のものなのですが、色がふつうの狸とは違いました。
まこちゃんもそのことを思ったようで、ふふんと勝ち誇ったようにわらいます。
「かたちは同じやけど色がなぁ」
しょうちゃんの黄色や、と言うと、ぎゅうっとその耳を摘みました。案外強い力で摘んだらしく、しょうちゃんがいたたたた、と悲鳴を上げます。それで力が抜けたのか、しょうちゃんの狸の耳はもとの三角の黄色にもどっていました。それに満足したのかまこちゃんはぱっとしょうちゃんの耳から手を離します。
しょうちゃんは怒るでもなく少し眉を下げながら摘まれた狐の方の耳をなでました。