0803 20:20

※誠凛と霧崎が仲良し


「さあ、食えよ」
 ドヤ顔の花宮が出した皿にのっかったものを見て、誠凜の一同は目を丸くさせた。
 皿の上には煮すぎて崩れたどころではなく、溶けたようにどろりとした固形物。色は謎の紫。何の色だ。ぐちゃあ、といった効果音がふさわしいそれの汁のような物が染み出していて、周りもベチャベチャしている。もはや原型をとどめていないどころではない。一体なにを作ろうとしたのかすらわからない。いや、なにを使ったのかもわからない。料理にはあるまじき、まがまがしいオーラを纏っているようにも見える。いやもう、どうあがいてもおいしそうではない。
 こりゃカントクのほうがマシだわ…としみじみ思う誠凜一同。それを察して、あんなのと比べないで!と相田が叫んだのに、悪かったと日向が素直に謝るくらいには物体は不味そうである。
 だがしかしそんな視線を全く無視して、原たちはぱくぱくとその料理と呼べるのかすら怪しい物を口へと運んでいる。それには芝居がかったものはなにも感じない。本当に美味しそうに食べているのだ。花宮の恐怖政治、という訳ではないらしい。

(中略)

「…」
 変な引力がある、とでもいえばいいのだろうか。日向は思わずその皿に乗った物体をスプーンですくう。それに伊月がおい、と声をかけるがそこは男日向、一度気になった物は調べずには気が済まない。
 ぐるりと周りにいる誠凜メンバーを見渡した後、恐る恐る口の中へと運ぼうとした。
「食べちゃアカン!!!!」
 突然響いた悲鳴のような声に日向は驚いて持っていたスプーンを下へ落としてしまう。ばっと声のした方向を日向が向くと、そこには顔を青くさせた今吉翔一がたっていた。
「食べちゃアカンって、どういうことですか」
 伊月が今吉に尋ねる。今吉はぶんぶんと首を横に振ってから答えた
「それ…ホンマに美味いねん…」
 ガクガクと震えながらいう今吉にはぁ?と日向が声を漏らす。ならいいじゃないか、と言おうとしたところでカッと今吉は目を開いた。
「美味いだけならまだええ!アイツの料理は例えるなら…そう、麻薬、麻薬なんや」
「まやく…?」
「…一度食べたら最後、ふと食べたくなるんや。一ヶ月とか、半年とかたった後急にな…」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -