0711 22:32

まず、一段。
一段目はそこまで苦しくはなかった。気まぐれで入ったバレー部は、強豪だと聞いていたから練習が厳しいのも覚悟していたし、上手い奴がたくさんいるのもわかっていた。たぶんはじめ同じ列にいたのが金田一で、その一、二段上に影山がいた。それで、そのずっとずっと上の方に及川さんや岩泉さんたち三年生がいて、そこにたどり着けるように、俺たちは頑張った。憧れで、目標だった。一、二段の所ではまだ同じ目標を共有した仲間だったと思う。俺はどこかで思い描いていた。いつか、先輩たちのようにコートに立つことを。試合をすることを。一緒に並んで、勝利の喜びを共有することを。
でも、どれだけ時間がたっても、影山はいつも俺たちの数段上にいた。俺や金田一が抜いたり追い抜かれたり、立ち止まったりしている間も、ずっと進んでいた。しかもそのスピードをだんだんと早めていくようだった。最初は、振り返っていた影山はだんだんとこちらを見なくなった。振り向かずに、階段を駆け上がっていくようになった。それが悔しくて俺たちも追いつこうとはしたのだ。最初は。
三年になってから、俺はもう諦めていた。
だって、あいつは俺たちに追いつかれることを望んでいるわけじゃないから。追いつけたとしても都合のいいよく動く駒扱いがいいところだろう。そんなのが欲しいわけじゃない。それに、常に全力だなんて俺のスタイルじゃないしね。だから諦めた。
影山はいつも怒鳴ってばっかだった。俺もほかのみんなも適当に流してたのに金田一だけは最後まで諦めずに影山にぶつかっていた。それも意味なかったけど。
やっと、コートに立って試合をできるようになったのに、全く楽しくなんてなかった。1年のころの憧れは、ついぞ実現なんてしなかった。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -