0409 23:09

 どうして俺たちはうまくやれなかったんだろう。
 なんでもないときに中学の頃を思い出しては、そんなことを考える。後悔は、いつだって俺の周りをついている。
 たとえば、もっと言葉を投げかけていたら変わったのだろうか。もっと早くにああなっていれば、違ったのだろうか。俺に、金田一に、それかほかの誰かに、あのチビの十番の身体能力があったなら、なにか変わっただろうか。
 考えても考えてもその答えは出なかったし、俺たちはよく頑張ったと思う。北一のときの影山はどう考えても横暴で自己チューな王様だった。逆に、よくあそこまでついていけたものだと思う。もっと速く。もっと高く。際限なく求められるものに、ついていけなかった。アイツのトスに合わせられたら、全国なんて夢じゃなかったはずだ。それは、たぶんみんなわかってた。だからこそ、俺たちはあの試合まで我慢した。いつ爆発してもおかしくない状況だったのだ。その爆発が、たまたま、あの日だった。それだけ。
 そうやって正当化する結論に行き着くのに、思い浮かぶのはベンチに下げられた後のアイツなのだ。表情なんか見えないほどぐっと俯いて、膝を握りしめているあの姿。そして、トスが、誰にも追われることなくコートに落ちた瞬間、影山のすべてを失った、みたいな顔。影山がベンチに下げられるとき、俺はざまあみろ、と思った。
 だから、何でこんなに後悔しているのか不思議だ。
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