「○○ちゃん、悪いんだけどこれ団蔵君に渡してくれない?」


「ラブレターなら自分で渡せや」と言いたいが、言えないこのチキンさを恨む。

今日受け取ったラブレターの数は3つ。先輩からのもあるからさっさと渡してお役目ごめんしてしまおう…無くしたりしたらきっと先輩にしめられちゃう。


「というわけで、さっさと受け取ってくれたまえ。」
「おぅ」


部活終わりの団蔵に手紙の束を渡して、やっと肩の荷が下りたと背伸びひとつ。


「いつも懲りずによく引き受けるね。」
「うっせー」


委員会がさっき終わりでたまたま居た兵太夫が横から口を挟むからムッとして言い返しておいた。


「好きな奴に他の女のラブレター渡すなんて意味わからない。」
「そうなんだよ。自分でも何やってんだろうって思うのよ…ってか、団蔵ミーティングでいないからってここでしなくても良いじゃんこんな話」
「バレたらまずいの?」
「あんまよくない。」
「ふーんそう。」


この小悪魔美人わざとやってるな…兵太夫の横に座って私持参のお菓子を食べながら団蔵を待つ。昔から何かと3人でつるんでるけど、兵太夫はなんか一歩大人なんだよね。


「あれ?今日は彼女さんと一緒じゃないの?」
「あいつ、明日模試だから早く帰った。」
「そっか、3年生の後期は忙しいもんね…」


兵太夫の彼女さんは3年生で、私の面倒をよく見てくれる優しくて綺麗な人です。


「寂しいな…」
「○○はあいつのこと大好きだもんね」
「うん。兵太夫は寂しくないの?」
「寂しいけど、邪魔できないし。」
「大人だね。」
「そうでもないよ…」


冬休み明けたら、ほとんど会えなくなるだろうし…そう呟く兵太夫は、とっても大人に見えた。





恋心





「ねぇ、団蔵。」
「ん?」
「兵太夫元気ないよね。」
「だな。先輩関係だろ?」
「うん。」
「今度どっか連れ出すか。」
「明日先輩模試だって」
「明日か…俺練習試合だ。」
「そっか…きり丸とか声かけて遊びにいこうかな。」


そうだな…乱太郎にしんべい、虎若は部活あるだろうから三ちゃんとか喜三太とかよんでどっかに遊びにいこうかな…


「ダメだ。」
「へっ」


そんなこと考えてたらまさかの団蔵からのダメだし。


「だから、ダメだ」
「なんでよ?」
「っ…とにかく俺抜きで男と遊ぶな!!」
「なによケチ…」


そんなにハブが嫌か?別にハブるわけじゃないし…団蔵忙しいだけじゃん?


「わかったよ。しかたないなぁ…兵太夫誘って団蔵の練習試合の応援行ってあげる。」
「おし、俺頑張る」
「勝ってね?一年レギュラー様」
「まかせとけ!!」


団蔵と喧嘩すんのもあれだし、兵太夫誘って試合見に行こう。





(たく、好きな女を野郎とみすみす遊びにいかせるかっての)


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