しょぼくれて座ってるあいつがいた。
あんまりにも可哀想だし、傘に入れてやろうか?とでも素直に言えればよかったのに、俺は雨の中につっ立って、「入るか?」と聞いた。
てっきり、アイツは怒るだろう、切れるだろうと思っていたのに、何も迷わず雨の中を走り傘に飛び込んできた。濡れて張り付いたYシャツに罪悪感を覚えつつ無言で帰り道をひたすら帰る俺らは、周りからどう見えているんだろうか。
そんな事を考え、無言の帰宅道。(あぁ、くそ。なんか会話ねぇのかよ…)
あっ…そういえばこいつの家知らないという重大点に気づいて、場所を聞こうと横を向いたら、車がこっちに来るのが見えた。だが○○はボケッとして全く気がついてない。(馬鹿が…)
車道側に歩かせていたことを悔やみながら慌てて○○を引き寄せてやると違和感に気づいた。
濡れている。しかもずぶ濡れだ。
まったく気づかなかった俺のふがいなさにイラついて○○になぜ言わなかったと問い詰めれば、「言ったら追い出されるかと思った」と返され言葉がでなくなった。普段の俺の行動から考えれば、そうなるよな。
今のまま、何もせず帰すのが気分悪かったから三国に迎えに来させると説得して家に連れ込んだ。
(この行為で、母さんに女の子を傘から半分追いやるなんてとさんざん怒られ、のちのちからかわれることになるとは夢にも思わなかった…)