「もう一週間経つのに取れないね」
「耳がポロッと取れるのも困るけどね。」


ひょこひょこ動く左近のウサギ耳を眺めながら薬草の仕訳をただいましているわけなのですが、ひょこひょこ可愛く動くものだから気になって仕方ない。



「ふぅ、薬草の仕訳この前やったばかりなのに…いさっ君棚を倒しちゃうんだもん。」
「いつものことだし…この前は乱太郎、その前は三反田先輩。」
「みんな不運だね。」
「そうだね。」


なんとか仕訳を終えて引き出しに詰める作業に変えてもくもくと進める私たちは、時間がかかったが恋人になれました。この頃は、左近のお手伝いのため医務室に入り浸っています。


「あれ、左近君ちょっと機嫌いい?」
「なんで?」
「耳の動きでなんとなく。」
「……」
「睨まないでよ。」


まぁ、こんな感じですが仲良くやっています。






戻ったウサギちゃん




「終わった。」
「こっちも。」


うーんと二人で背伸びしていたら、ふすまが開いた。誰かなぁーと思ってたら、何やら怪しいものを持った伊作お兄ちゃんだった。(今度も変なもの作ってないよね?)


「あっ、左近ちょうど良いところにいた。できたよ解毒や…どわっ!!」

伊作お兄ちゃんは、言い終えないうちに何かにつまづいて見事に薬はばらまかれ、ばらまかれた薬は左近にぶっかかった。(何という不運)


「ひっ、左近!!」


今度はどうなっちゃうのかとハラハラしながら近くにあった手拭いで液体を拭き取ってみると、違和感が…あれ、何か足りないような気がする。


「耳がない…」
「ない?」
「ない!!」


凄く嬉しそうに笑う左近に私も思わず笑い返した。(転けてぶつけたのかおでこの赤かい)伊作お兄ちゃんを振り替えるとほっとしたように笑ってた。


「上手くいったみたいだね。」

「よかった。」
「あぁ…でも、びしょびしょだよ。」


薬の臭いがたっぷり染み込んだ袖を少し握ればボタボタと薬が床に落ちてしまった。


「ごめん、左近。お風呂入っておいで。○○は悪いけど掃除手伝って。」



不運委員長な伊作お兄ちゃんに、「もう、しかたないな」と笑って掃除に取りかかった。




(左近と仲良くなってから、笑う回数が多くなった気がする。)




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bkm
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