「三郎っ」
授業と授業の間の休み時間。
廊下を○○が私の元へ笑顔で走って来た。
「××がね、この髪型似合うから三郎に早く見せてきなっていうの」
クルッとその場で回る○○が愛しくてついつい抱き締めた。
「なぁ、」
「何?」
「嫌な夢を見たんだ。○○と××が死んで、私は、生き残った夢だ。」
「嫌な夢ね。」
「……○○、可愛いよ。」
「ほんとっ!!ありがとう」
笑って○○は、自分のクラスに戻っていた。
解放。
「雷蔵、俺にどうしろって言うんだろうな。」
クラスから出てきた雷蔵に私は、話しかけた。
「何も覚えてないんだね…○○も××ちゃんも。」
「私の妹ととして××が生まれ、雷蔵と出会い、○○が現れた。」
「僕と三郎は、前の世を覚えていて、彼女達は覚えていなかった。」
そうだ。
彼女達は何も覚えていない。
「彼女達は、解放された。でも私は、解放されなかった。」
××の恨みは、蜘蛛の糸のように私に絡み付いているのかもしれない。
私は、解放されなかった。