それから少しあと、
「燃えちゃいました。」
「ましたね。」
綾部君の横で母の形見の髪飾りと家宝の刀"梅若丸"を持った私は、森の奥にある生家が燃えるのを草むらに隠れながら見ています。
「まさか火を使うとは思いませんでした。」
「避難しておいてよかったね。」
ポンポンと私の頭を触りながら綾部君は燃える家を見つめています。
「数日とはいえ…住んで気に入っている所がなくなるのは心寂しいものですね。」
「はい?」
「まぁ、取り敢えず逃げましょうか。」
「何処へですか?」
そうです。住む家を失った今、親戚はいないし(行方不明の父と兄に連絡はつかないし…)どうすれば良いのでしょうかね。
何処へ逃げれば良いのでしょうか?
「忍術学園に行きます?」
なんですか?
忍術学園ってなんですか?
そう言えば、忍たまってなんでしょうか?(なんとなく忍関係かと思って流してましたけど)
何が何やら分からないまま、私は綾部君に背負われ燃える生家を後に暗い夜道へ旅立つのだった。
(綾部君っていったい何者なんだろう?)
(そう言えば…忍術学園に○○ちゃん連れ帰って平気かな?まぁいいか。)
家を出るなんて…遠い遠い未来の話だと思っていたのに…こんなに早く来るなんて思っても見ませんでした。
だけど、別段嫌な気はしません…たぶん、綾部君と一緒だから。