突然ひとが上から降ってきて3日。




「ふぅ…」


トン、トン。と、リズムよく奏でられる薪割りの音に耳を傾けながら、どうしたらいいものかと、ない頭を捻って考えてみる。

一人寂しい私にとって、彼がいることは救いである。(独りぼっちは嫌いですから。)
だからと言って、このままと言うわけにもいかない。(彼の事を待っている人がいるだろうし。思い出させてあげたい。)


「ため息つくと幸せ逃げますよ…」
「あっ…」


声につられて伏せていた顔を上げると、彼の顔がどアップで目の前にあった。
思わず、少し熱をもった顔を彼から離すと不満そうな顔をされた。


「薪割り終わりましたよ。」

ちょこっと首を傾けて言う彼に可愛いと思いながら、もう一歩彼から離れる。


「ありがとう。」
「何で逃げるんですか?」
「離れただけですよ」
「じゃ、離れないでください。」


小袖の袖をつかんで可愛く言わないでくださいっ(私、もちません…)


「○○ちゃんが離れるなら、僕が近づきます。」


と言葉を添えてグイッと顔を近づけてくる彼に思わず近くにあったもので頭を叩いてしまった。


「きゃぁぁっ、ごめんなさい!!」
「いっ…たいですよ。○○ちゃ…」


頭を片手でさすりながらも反対の手はしっかりと小袖を掴んでいる彼は、いきなりはっとして私の方を見た。


「おぉ、思い出しました。そうだ、荷物」
「荷物なら、拾ったの全部風呂敷に包んでおきましたよ…」


スタスタと歩いていき荷物を確認しながら、彼は告げた。


「僕は、忍たまで綾部喜八郎。学園長のお使いの帰りに足を滑らせて崖から落ちたんです。」
「忍たまさんが?」
「なんだか、プロの忍者に追いかけられちゃって」
「大変だったんですね…そう言えば外が騒がしいですね。」
「合戦が起こってるからじゃないですか(プロ忍がうろうろしていた辺りから考えて)?」
「この近くの平地でですか…ねって、暢気に話してる場合じゃないでしょ!!」


そうですね。と慌てる様子もなく返す彼に口をパクパクしていると、
さぁ逃げましょうと綾部君に抱き抱えられた。





遠い遠い未来の話





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