そして、冒頭に戻ります。


つまり、深い穴に一人でいます。


「早く帰らないかな…兄様」


昼なのに真っ暗で心細いけど…上がる気は更々無いです。


綾君…心配するかな?この前、穴に落ちたとき少し怒っていましたし。


「なーにしてるの?」
「あら…授業は?」


よっと自ら落とし罠に飛び込んだ綾君に聞いてみると、あぁ、忘れてました。と返され、
まぁいいです。と流されました。


「○○ちゃんが珍しく怒ってたから」
「ん……そうですね。」


ちょっと時間を置いてポツポツ話始めると綾君は静かに聞きながら私をギュッと抱き締めてくれました。


「一緒にいる。」
「嬉しいです…傍に居てください。」


私の幸せは私が守ります。
兄様に邪魔なんかさせません。



私は、戦います。
その先がどんなに真っ暗だとしても。



(お腹減ってきました。)
(綾君、干し芋ありますよ。)


(寒くなってきた)
(綾君、毛布持ってきましたよ。)

(…)
(この前持っていればよかったと思うものを用意してみました。)
(しばらくは、二人で居れるね)
(はい。)






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