「………はぁ、」
些細なことで、人は喧嘩するものである。
そして、喧嘩した後おおいに後悔するのです。
指を絡める。
今日の午後、綾君と町に出掛けると約束していたので折角だからお洒落でもしようと思って、斎藤君に髪を結ってもらう約束をした後の事でした。
廊下を歩いていると、綾君がふらっと現れて私の肩に手を置いてきました。
いつものようなほわほわな感じでなく、どことなく怖くて…私は思わず目を反らしてしまいました。
「なんでタカ丸さんと一緒に居たの?」
「お話ししてただけですよ」
「近かった。」
「そうですか?普通ですよ。」
「なんでタカ丸さんなまえちゃんの髪触ってたの?」
「タカ丸さんは、髪結いですから、お仕事上ででしょう。」
会話と言うより…質問と回答の繰り返しがなんだか悲しく感じる。
そして、だんだん綾君がイライラしていたのは分かりました。
でも、恥ずかしくて本当の事が言えなくて適当に返してしまったのがいけなかったのです。(今さらとても後悔してます。)
綾君は突き飛ばすように肩から手を外すと無言で私の前から去って行きました。
(午後…一緒に行ってくれるかな…)
紅梅の色をした着物に少しオレンジがかった紅。
斎藤君に綺麗に結ってもらった髪。
鏡で何度となく確認した後、門の傍で待つ私は不安でいっぱいだった。
綾君は、来てくれないんじゃないだろうかと…。
「………はぁ、」
あんなことで喧嘩みたいになっちゃうなんて…私綾君より3つも上なのになんでちゃんと受け答えしてあげなかったんだろう…
後悔はぐるぐる回るのに、状況はなんにも変わらない。
「可愛いですよ。」
「あっ……」
下を向いていた顔は、
ちょいっと綾君が顎を上げたことによって上を向いた。
「待たせてごめんね?」
「待ってませんよ。」
何て言おうかと迷いましたが、当たり障りなく返すと、嘘つき。と怒られてしまいました。
「さっき、タカ丸さん所行ったでしょ。」
「はい。」
「ムカついたからね、タカ丸さんにつめよったら、色々教えてくれた。」
「はい…?」
色々とはなんなのか。
ちょっと怖いので言わないでおきましたが、きっと髪結いの約束の事でしょう。
「なまえちゃんは、髪結わなくていい。」
「へっ?(似合わなかったのかな?)」
「僕以外なまえちゃんに触っちゃいけないから。」
冗談かと思いましたが、綾君のあまりにも真剣な表情にあぁ…本気なんだな。と思い直しました。
「じゃあ、今度は綾君に結ってもらいます。」
「じゃあ、タカ丸さんに教えてもらう」
仲直りしましょうか?
うん。
そんなニュアンスを含んだ会話の後、どちらともなく手を握り、指を絡めた。
日が少しずつ下がっていくなかを私たちは外へと踏み出していった。
(綾君と触れていればいるだけ…私は幸せ。)
(ずっとこうしていられればいいのにな。)
…後書き……
龍哉様〜どうでしたか?
まだまだリハビリ途中で文章ガタガタですが愛だけは込めました〜^^
企画参加ありがとうございます。
bkm