「あのね、」


部活後、なまえに会おうと思って探していたら、神堂と楽しそうにサッカーボールをけっているのを見つけイライラした。





その名は





「蘭ちゃん怒ってる?」


小さな声が聞こえた。
だけど今の俺にとっては、イライラの元だ。
どうしようもなくイライラするんだ。

なまえのことも神童の事も好きなのに…なんだか、とてもイライラするんだ。

いつもなら、なまえの声を聞いたり手を繋いだりすると、嫌なことすべて忘れられたのに、今は違う。

なまえの声を聞くとどうしようもないイライラが込み上げてくるんだ。

その可愛い口が開く度に、
さっき神童と何してたんだ?何を楽しそうに話してたんだ?

って疑問が頭を駆け巡るんだ…


「なぁ、」
「なに?」
「…何でもない」


いいかけて止まる。いいかけて止まる。
どうしても気になるのに、今までの関係が崩れそうで凄く怖い。情けないくらい、怖くて苦しいんだ。



「蘭ちゃん、」


息を切らしたような少しかすれた声が耳に届いた後、ギュッと手を握られ、俺は足をとめた。


「蘭ちゃん歩くの速いよ…」
「ごめん」


苦しい気持ちと、なまえに無理をさせていた情けなさが俺を襲う。その辛さをギュッと握られた手があたたかくて癒される。


「蘭ちゃん怒ってるの?」


小さい口の紡ぎ出す音が、俺の心に染み込んでく。どうしようもなく、なまえが愛しくて思わず胸に抱き締めた。


「蘭ちゃん…?」
「怖くてさ、」
「えっ、何が?」
「なまえがさっき神童と楽しそうに話してたから。」
「それってさ、嫉妬?」


抱き締め返しながらなまえが俺に呟いたそれは、事実で…少し恥ずかしくなって俯いた。


「蘭ちゃんは意外に嫉妬深いのね。」
「なまえ…」
「でも、わたしの事思ってるってことでしょ?嬉しいな。」
「なんだよ、そ…」


抗議の声をあげようとする俺の口は、なまえに塞がれた。
ゆっくり離れていく顔は少し紅色で、
それを見ていたらさっきまでの不安が全部消えてしまった。

あぁ、なんて単純なんだろうな俺は。


「あのね、さっき神童君と一緒にいたとき話していたのはね…蘭ちゃんの事なんだよ。」
「えっ」
「蘭ちゃんこの頃楽しそうにサッカーするから、神童君に話を聞いてたの。革命起こしてるんだってね…なんで教えてくれなかったの?」
「悪い」
「ううん、蘭ちゃんが楽しそうだからそれでいいよ。」


この先、何度も何度も誤解から嫉妬したり、喧嘩するかもしれない。
でも、なまえとならいつまでも一緒にいられる気がする。


「蘭ちゃん、次の試合は応援いくからね。」
「かっこいいとこ見せてやるよ。」
「楽しみにしてるね。」




小さな約束に俺の胸は跳ねた。






…後書き……

こんにちわ。
嫉妬甘切にちゃんとなっていますかね?
霧野君が嫉妬したらきっと可愛いんだろうなとか思いながら書いてみました。
神童君にとっては、とばっちりでしたね´`

この度は?企画参加ありがとうございます。小説気に入ってくださると嬉しいです。

ではでは、この辺で失礼いたします。


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