バイトをやめて一ヶ月ちょい。
ちょっと日々に余裕が出てきて、趣味を再開したりしています。
だけど、久々知君の事が少し気がかりでしょうがない。
文化祭で会ったとき、
やめると告げたときのあの顔が忘れられない。なんであんなに悲しそうなんだったのかな。
食品系の学科なのに必須である物理の問題を解いてイライラしながら私は、彼を連れていった本館の方を眺めた。
「やばっ、もう6時じゃん。早く帰らないと始まっちゃう。」
気づけば、辺りは暗くなっていた。
録画はしてあるけどやっぱりその時間にみたい。
学校をでて、最寄り駅に向かい歩いていると見知った人を見つけた。
「久々知君?」
「……先生。」
学生服の彼わたしに近づいてきて、にっこりと笑った。
「どうしたの?」
「他の先生じゃダメなんだ。先生に教えてもらいたいんだ。」
どうしたの?と普通に聞けば、彼は真剣な顔でそう答えた。唐突すぎて頭がついてこない。
そう言われてもやめた身である。彼に教えることはできない。
「先生、家庭教師して?」
「おいおい、そんな簡単にできるもんじゃないんだぞ。」
「交通費も出す。」
「いやね、保護者様の了解もいるしね。」
「それならもう取ってある。」
「仕事が早いな…」
「俺本気なんだ。」
いっこうにこっちの話を聞いてくれない彼にちょっとまいっていると、彼は真剣な顔でもう一押しした。
「俺、先生が好きなんだ。先生の授業じゃなくちゃだめなんだ。」
うん?ちょっと待ちなさい君…今好きって聞こえたぞ。
「久々知君?なんかすごいこと聞こえたんだけど」
「凄くなんかないです。俺は、××さんが好きです。」
「なんか目的ずれてないかい?」
「××さんが好きだから、頑張れるんです。」
どう答えても彼は食い下がらないだろうな…
「わかった。君の告白への返事は難しいけど、家庭教師の件は考えてみるよ。」
告白の返事の方お願いしますと無邪気に笑う彼に、答えならもう決まっているんだけどねと一人笑う。
あぁ、ちょっと無理矢理感あったけど、講師のバイトやってよかったな。
この先どうなっていくかわからないけど、2つ違いの彼に振り回されてみるのも悪くない。そう思ったりしました。
(えっ!!久々知君出身高校同じなの!?ってことは、後輩?)
(知らなかったんですか?)
(うん)
(俺は最初から知ってましたよ。)
なんだか、最初から彼の手のひらで踊っていたような気がしてならないこの頃です。
…後書き……
管理人も無事8月末まででバイトやめられることになりました^^
講師のバイトは精神面強くないと務まりませんね。2ヶ月で2回の担当がえでもうメタメタにされました。
講師のバイトしてる方、尊敬します!!
な感じで終わりたいと思いますでは。2011.05.20