「…っ、」
来るって言ったのに、何でいないんだ?
嘘つき、
××の嘘つき。
計算ミス
「グス、」
昨日から泣き続けた私の目は、可哀想なほど真っ赤に腫れてしまった。
そんな娘をほったらかして土日に一泊二日の旅行へ出かけた親はバカだと思うよ。なんだよ奴等。私もつれてけ。いい年こいて、いつまで新婚気分味わう気だよ。
「私どんだけ霧野の事好きだったんだろ…」
止まることのない涙が私は霧野が好きだって訴えてる。
ピンポン
そんな乙女の事情を無視した無機質な音にイラ。
誰だよ?
だけど、宅配とかだったら困るしな…仕方ない。出てやるか。
「はーい。どちら様で…」
玄関を開けた先にいたのは宅配屋のお兄さんじゃなくて、ずぶ濡れの霧野のだった。約束破ったから怒ってるのか?そうなのか?やばい、どうする私!?
「風邪、ひくよ」
仕方ないから、何もなかったようにつくろって話しかけたけど無反応。
その後何を話しかけても反応を示さない霧野にめちゃくちゃ焦ってます。
あぁもう私のボキャブラリーは少ないんだから、あんまり難しい状況作られたらなんて声かければいいのか分からないじゃない。
「霧野、風邪ひく」
もうワケわかんないし、
私部屋着で目が腫れて誰にも見せたくないような状況…女子としてどうよ?な格好してんだからあんまり外に出さないでよ。
痺れを切らした私は、霧野の腕を引っ張って家に連れ込んで、タオルと独り暮らしで普段家にいない兄さんの部屋から持ち出した服を霧野に押し付けて脱衣所に放り込んだ。
あっ、これじゃあ私顔洗えない。
なにも言わなかったけど、ちゃんと分かってくれたみたいでシャワーを浴びてくれていることを音で確認して、まぁ顔洗うのは後回しにして服だけ着替えることにした。
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