拾ったガキは、気づいたら女になっていて、
気づいた時には、手放したくなくなっていた。
小さな口約束さえ、守らないといけない。と思っちまうくらい。
『ため息もうつかないからね、次の島で一緒に買い物付き合って?』
その小さな約束を守りたい。
その願いは叶い現実になった。
「ほんとによかったの?」
「あぁ、ベンが上手くやってるから平気だろ。」
俺は船長だから色々とやることがあるっちゃある。
だが、今回はなぜかベンが中心になって俺の仕事を減らしてくれた。
ありがてーなと思いながら、今こうして○○と歩いている。
それにしてもまさか、上陸早々自由に動けるとは思わなかったな。○○も平気なのかと少し心配そうにこっちを見てくる。
まぁ、そのうち安心したのか楽しんでるみたいでよかった(ベンが優秀だってわかってるからか。)
「で、何買いたいんだ?」
「ん…とりあえずは、服。あと日常消耗品。」
買い物を付き合うのはいいが、女の買い物ってのは、わからねぇ。
どこにつれてかれるかと思ったが、そんなにすごい所に連れていかれなくてすみそうだ。
服屋に雑貨屋、また服屋に服屋。
行き当たりばったりに気に入った店に入ってく○○を追いかけるだけで目が回る。
2,3店入っただけですでに荷物持ちと化した俺を引っ張って○○はまた別の店に入ってく。
『まだ買うのかっ』と言えば、『後少し、後少しといいながら』帰る気配が見当たらない。
店にはいっても別に買うと言うわけでなく、見て回るだけ。女の買い物って疲れるな…。
そろそろくたびれてきた頃○○が立ち止まって俺の方を見た。
「あそこの雑貨店で最後」
「たく、最後だからな」
大荷物を抱えた俺は○○の後をやっとのことで店に入った。
さっきまでと違い真剣に品物を見る○○の後ろで様子を見ていたら、ペアのマグカップが目に入った。
○○も気に入ったようでそれを眺めてる。
「最後だから買ってやるよ」
グカップが入った箱を○○から取り上げて会計しに行った俺を見た店員のおばさんが○○にガッツポーズをした。なんなんだ?○○の知り合いだったのか?まぁいいかと思いそのまま会計を済ませ、そのまま○○の方に行く。
「なに?」
「いや…知り合いなのか?」
「ううん。全然知らない人。」
違うのか…ならなんなんだ?
少しばかり考えていたら○○がムスっとしだした。なんなんだ…わかんねーな。
「ねぇシャンクス、」
ムスりとしたと思ったら、次は悪戯な顔をした。なんだ?もう一件とかはやめてくれよ…。
「もう買い物は終わりだ…」
荷物を抱えた俺に○○が近づいてきた。引っ張られたってもうこれで終わりだからな。
そんなこと思ってたら、○○の顔が目の前にあった。
固まる俺に勝ち誇った顔の○○がニッと笑って船の方へ走り出した。
イタズラ好きなこの手をぎゅっと掴んで離さないでね
(○○っ)
(余所見なんかしてるからよ。隙だらけじゃないバーカ)
不意打ちとはいえ、キスされた俺って…
逃げ出した○○に追い付いて腕を掴めば、いつもより○○の体温が高い気がした。
(この手を離したら、いけねー気がした。)