好きな男がただの口約束を守ってくれたら、期待していいのかな?
『ため息もうつかないからね、次の島で一緒に買い物付き合って?』
軽いノリで言った一言は、今現実となった。
「ほんとによかったの?」
「あぁ、ベンが上手くやってるから平気だろ。」
海賊だって色々とやらなくちゃならないことはあって、船長であるシャンクスにも仕事はある。
それが上陸で、赤髪ほどの規模の海賊となれば色々忙しい。
なのにこの人は上陸早々『買い物行くぞ』と私を引っ張り町に向かった。
本心は嬉しいけど、いいものかと悩んでしまう。(まぁこう言うことはベンの方が上手だからね…)
こんな小娘の口約束を守ってくれるシャンクスは、やっぱり男らしくて大好き。
「で、何買いたいんだ?」
「ん…とりあえずは、服。あと日常消耗品。」
そんなに欲しいものは別段ないっちゃない。
たまる一方のお金をちょっと使ってしまおうかなと思ってただけだし。
気に入った店を何軒かまわるうちに楽しくなってきてしまった。
荷物持ちとかしたシャンクスは、『まだ買うのかっ』と、なかば嘆いている。
別に買うものはないけど、買い物してる間はシャンクスを独占できるからギリギリまで引き延ばしたい。
「あそこの雑貨店で最後」
「たく、最後だからな」
大荷物を抱えたシャンクスが狭い店内になんとか入ってきたのを横目に、最後だから記念に何か買おう。
って言っても必要雑貨なんか無いしな。
使いそうなもの…マグカップでも買っておこう。(こう言うのを無駄遣いって言うんだよね。)
「最後だから買ってやるよ」
ペアのマグカップが入った箱を器用に取り上げ勝手に会計しにいくシャンクスになんと声をかけるべきかとワタワタしていたら、店員のおばさんにガッツポーズをされた。(おばさん…勘違い!)
おばさんの意図に気がつかないシャンクスは、不思議そうな顔で荷物を抱えて帰ってきた。
「なに?」
「いや…知り合いなのか?」
「ううん。全然知らない人。」
はてなマークが消えないのか、考え込んでるシャンクスに少し腹がたつ。そんな下らないこと考えるなら私の方を見て欲しい。
「ねぇシャンクス、」
「もう買い物は終わりだ…」
背伸びをして、シャンクスに触れるだけのキスをする。予想外の行動に唖然とするシャンクスを見て少し勝った気がした。
そのまま船に全力ダッシュ。
ごちそーさまです後払いでいいですか?
(○○っ)
(余所見なんかしてるからよ。隙だらけじゃないバーカ)
(最後に買ってもらったペアのマグカップ。片方は埃がたまってしまうんだろうな。そう考えたら少し悲しくなった。)