どうやら、島に寄るらしい。
久々の大地に、初めてのこの世界の陸地に少しばかり私の気分も弾む。
それに、どうやらローが私に付き合ってくれるらしい。別にベポとかペンギンとかで十分なのに・・・と思いつつもとても嬉しい。
あなたの心臓のバターソテー
何で付きあってくれるんだろう。疑問を渦巻かせながら先をスタスタ歩く長身の彼の背を小走りに追いかけた。
運動不足の体はそんな些細な運動で悲鳴をあげだし、終いにはローへの不満が心の中で渦を巻き始めた。
止まれ−。止まれ−。
「お前…いつもベポにおぶってもらってたからってよ…」
私の状態にやっと気がついたのか、ローが足を止めてくれた。運動不足が、とくどくど文句を言われムーとなったが、まぁ事実なのだから仕方ない。かな。いや、でも私今までの生活があれだし!
「私は、あんたんとこに…落ちる前まで、
何ヵ月もね…外歩いてなかったのよ…運動不足なめないでよ……ね」
「威張るところじゃないな。」
くそ、軽く流された!
と思っていたら、ローが軽く私をつまみ上げ器用におんぶさせてくれた。
私は、つい嬉しくなってローの首にギュッと抱きつく。
その後はしばらく買い物にせいを出し、お気に入りの服を何着か購入しローに持たせた私は、
帰り道素敵な場所を見つけた。
それは、あまりの荷物の多さにいらいらし始めたローをなだめながら、海をまでの道のりをのんびりと歩いているときだった。
夕日が、海の水面を明るて照らし、波がオレンジ色に染まる素敵な風景。初めて見るこの美しい風景に私は足を止めただ見とれる事しか出来なかった。
もう少し行けば船がある港。
でも、まだ、ほんの少しでいいの。ローとここにいたい。
「ロー、私。」
「気に入ったのか?」
「うん。私ね、生まれてはじめて海見たのが、ローの船の上からだったの。だから、大陸から海を見たのはじめてなのよ…」
「どんな人生だよ…」
私に近づき頭を優しく撫でてくれるローに幸せを感じながら、目を閉じる。
浮かんでくるものは…人気のない自室と…幸せそうな弟と両親…そこに私は含まれてなかった…
そして、船のみんなが…ローがいる幸せな風景。
あぁ、私…人間らしい幸せを感じてる、今。ローが近くにいる。頭を優しく撫でてくれる。これだけで私幸せで、心臓がバクバクと波を打つ。
「ロー、私あなたが好きよ。」
「………」
ピタリと頭を撫でる手が止まるのを感じながら私は続けた。
「ロー、私のこと好き?」
ローの方を向くと、戸惑う彼の顔が見えた。だけどすぐにいつもの顔に戻り
返事の代わりにキスをされた。
深い深い、優しいキスを。
私が魔女なら、貴方のハートを美味しく調理して食べてしまうんだろうな。貴方が他の女の方を見ないように。
ようは、それだけ私が惚れ込んでるってことかな。