この世界は、おかしい。知れば知るほど私の中で整理がつかなくなっていく。
おはじめ思いつきで言った 異世界という単語が現実味を帯びだしてしまった。
悪魔の実なんて下らない実があると知り、巨人、魚人、人魚という種族が存在すると言うことを教えられた。
動物もおかしいのが生息している。私の知る世界がここには存在しない。
私は自由に私の考えたいことを自由に今考えていられる。
そして今私が疑問を持ち、その対象にしているモノはり目の前にいる喋る熊である。
すこやかにくさるまで
「へー、」
状況整理をしてみれば、やはり余計私の頭は混乱した。
私が常識と思っていたことは、ココではどうやらほとんど通用しないみたいなのだ。
私の生まれた場所にまず、悪魔の実なんて不可思議なものはないし、海賊がそこら辺にいたりしない。リアルになっていく異世界という単語に私は若干いらいらした。
「それにしても、ハートの海賊団ね…」
何とも可愛らしい名前じゃないか。この船にいる海賊団の名前を知った私は何となく
船長であるこの男より、ベポと呼ばれる熊の方が似合うと思った。
「で、お前はいったいなんなんだ?」
「そうね。この世界の常識が私の常識と合わないところを見ると、信じたくもないけど最初に言ったように異世界の人間ってことじゃないかしら。ココには携帯とか無いんでしょ?」
出し忘れポケットに入ったままだった、どこにも繋がらない携帯を投げ渡すと、男は見たことないと添え、投げ返した。
「それにしても、あんた暇人ね。」
「何がだ?」
「私なんかにつきあうなんて」
「そうか?面白い情報をみすみす捨てるわけねーだろ?」
「ほしい情報なんて持ってないの知ってるくせに」
この男に役立つモノなんか私1つも持っていない。この男はそれを理解しているだろう。仮にも船長なのだから。
ほんと、私を生かすなんてバカみたい。何かあったらどうするのだろうか。まぁ、私に何か行動できるほどの力は少しもないけどね。
「ほんと、馬鹿ね。私なんかココで生きていても、ただ食料費がかさむだけでしょうに、」
「文句あるのか?」
「別に。ただ、あなたらしくないと思ったの。」
「俺が分かるのか?」
「知るわけないでしょ。出会って数時間なんだから。でも、慎重で頭の回転がいいということはよく分かった。」
「そうか。まぁ、まえが居ようが居まいが何も変わらないが、居た方がいい気がしたんだ。それに、おまえが何しようが何の影響もないうちに殺せる。」
「馬鹿みたい。」
でも、この船に揺られる自由な暮らしは嫌いじゃないと思う。
すこやかにくさるまで、
もう少し付き合っても良いかと思った。