「チョコレートって溶けやすいんだ…」
湯煎をはじめてやりました。バレンタインは過ぎちゃったけど、色々あったから仕方ないよね。
うん。
頑張ろう。
えっと、親父様の分と姉様の分とマルコと……エース。
船の上だからあんまりこったもの作れないけど姉様命令だから頑張らなくちゃ。
「おーい○○、」
ん?エースが呼んでる?そんなわけない、ない。
「何やってんだ?」
「はわわわっ」
姉様たち足止めしてくれるって言ったのに。
「腹の足しになるもんねーか?」
「あっ…ああぁっ!!」
―ドゴ
「あっ…」
思わずボール投げちゃった。
どうしよう…チョコレート入ったままだった…
どうしよう…チョコレートしたってる…
チョコもったいないな。
「…………」
「……エース?」
「はははっ」
「あはははっ…」
目が笑ってない…。
(そりゃあ、そうだよね。チョコレートまみれだもんね。)
「姉様ぁぁぁぁっ」
「待てっ!!」
追っかけてくるチョコお化けのエースが怖くて怖くて、止まるに止まれないけど、どうしよう…チョコレートが床に落ちてるからあとで掃除しなくちゃならないんだよね。
止まれば掃除範囲縮まるんだよね。でも止まる勇気ないんだよね。
まぁとにかくあと少しで姉様の所につく。うん。逃げよう。
「姉様ぁっ…」
「おっと、そうはさせねーぜ。」
「…………チョコレートお化け」
「あのな。」
だって、エースの熱で常に溶け落ちるチョコレート。
捕まった私もチョコレートまみれ。
姉様達は笑ってるし…なんだか悲しい。
「えっと、エースごめんなさい」
「ちょっと許すには遅かったな」
「………ごめんなさい」
「覚悟しろよ?」
「だだっだって、びっくりしたからつい…」
「"つい"で投げるか普通?」
投げちゃったんだもの仕方ないじゃない!
「まぁ、許してあげてよ。誰も来ないと思ってた所に、一番来てもらっちゃ困る人が来たんだもの。びっくりするでしょ?」
姉様…姉様ありがとう。でもなんで楽しそうなの?
「私たちちゃんと通路見てたのに何処から入っていったの?」
「そうよね。不思議だわ」
「ん?っあぁ、わりぃ、食料庫で寝てた。」
「それで入れちゃったの?」
食料庫で寝ないよ普通!!何してるのエース、この前マルコにさんざん怒られたばっかなのに!!そもそもエースだって悪いじゃないの!!
「なら、そろそろ許してあげてよ。泣きそうよ。その子」
もう泣いてるよ、姉様。
「チョコレートまみれのまま突っ立ってるのも体に良いわけじゃないわ。着替えてきなさい。」
うん。気持ち悪い。ベトベトして。
「はいはい、仲直り、仲直り。まったく世話が焼けるんだから。」
姉様達ってすごいな。なんでもできちゃう。エースも言うこと聞いちゃうし。姉様達はすごい。
「そう言えば、残りのチョコは無事なの?」
「へっ?コレが全部だよ。」
エースに投げたのがこの船にある全部のチョコです。
「あら…二人とも少しそこに座りましょうか?」
なんで姉様の頭に鬼の角が見えるんだろ。
このパターンって、数時間動けないパターンだよね。
なんでこうなるの?
本気で泣きそうになる私と、状況が理解できてないエースは、みっちりチョコについて説教されました。
バレンタインのちょっとした悲劇
(はい、クッキー作ったの)
(いただきます。)
短編にもおきましたがこちらにも。元拍手です。