「うわっ、三郎が二人とか私いよいよおかしくなった?」
雷蔵。と私が声を発したあと、○○はゆっくりと私の胸から顔を上げ、回りをキョロキョロ見てすっとぼけたことを言い出した。まぁ混乱しても仕方ないだろう…落ち着けと頭をポンポンと撫でてやると、安心したのか○○が息を吐いた。
「前に話しただろう?雷蔵だ。」
「えっ…と言うことはだよ、」
「戻ってきたみたいだ」
私の生まれた時代に。
「まじっすか?…まいっか。」
落ち込んだかと思ったが、まったく堪えてないみたいだな…さすがと言うべきか、バカと言うべきか。頭を掻きながら状況を飲み込もうと○○が必死こいてるなか、懐かしい友が口を開いた。
「三郎、三郎だよね?」
「あぁ、服装は違うが私だ。」
なぜか顔を赤らめて目を泳がしている雷蔵にどうしたのかと雷蔵を見ると、○○を指差す…あぁ、この時代で考えるとかなり肌を露出しているから、目のやり場に困っていたのか…
「悪いが何か羽織る物を持ってきてくれないか?」
「うん。」
ほっとしたように表情を崩す友人に、
このままでいるか、何か羽織らせるかと考えていたのだろうと予想できる。助け船を出してよかったな。
「ねぇ三郎、なんかまずかったの私?」
「キャミの重ね着に、短パンってかっことこの時代を考えてみろ」
「納得いきました。」
雷蔵君
あれから、雷蔵君の知り合いの女の子(くのたま)に着物を借り、今は学園長先生に会うため廊下を歩いています。
ちょっと話しただけだけど、雷蔵君は、三郎と同じ顔だけど性格は全くちがうのだなと思いました。まぁ、三郎が顔借りてるだけらしいし、性格は違うだろうが。
まぁ、雷蔵君は、ふわふわ天然可愛い子ちゃんって感じだな。
そんでもって、三郎は、悪戯っ子でちょい意地悪でカッコいいってとこだな。
ちなみに、今は、三郎が行方不明になって大変だったとかそんな話してます。
「三郎行方不明なの一ヶ月だったんだ。平成で1年位過ごしたのにね。」
「こっちと、平成って所は、時間の流れが違うのかな?」
「かもね〜」
あははとか笑いはしたけど、ちょっとどうしよう!!もしその計算がそのまま通用するんなら、ここで一年すごすと平成で12年たつことになるのか。
やばくね?あたし何歳よ…浦島太郎じゃないんだからさ、ちょっとどうしよう。それに、
「あーぁ、せっかくプレゼントに予約してた新作ゲームがパァーだわ。」
「なんだと、新作楽しみにしてたのに!!」
予約金パァーだ。
泣けるぜこのやろう。三郎と二人がっくりと肩を落としていると、雷蔵君が申し訳なさそうにこっちを見てきた。
「なんか、二人で盛り上がってるみたいだけど…」
「悪い雷蔵。」
雷蔵君が困った顔してるの気づかなかったごめんよ…そうだよね、新作ゲームとか言われても困るよね。予約金とかいきなり言われても、知らないもんね…お姉さんやっぱりちょっと内心焦ってるんだ。許して。
「でさ、私これからどうすればいいんだろうね。」
「とりあえず学園長に相談だな。」
三郎の言葉にひとつ頷きながら、優しい人ならいいんだが。と思った。まぁ考えてもしゃあないから、二人についてくか。
人生なるようになるって言うしさ。
(なってもらわないと困るんだけどね。)