悔しかった。
○○さんがいなくなったせいで三郎があんな風になったのに、○○さんは普通に生活してた。
三郎の様子がおかしいと言ってるのに○○さんは帰ってこなかった。
「……」
悔しくて、彼女の言葉の意味を上手く受け取れなかったけど、帰り道に委員会の後輩であるきり丸が、下を向いて悲しそうにしているのを見て○○さんが言った『人に頼るんじゃなくて、自分で何とかしなさい。きり丸まで巻き込んで…』という言葉が思い出された。
「先輩…」
「どうしたのきり丸?」
「なんで鉢屋先輩は○○さんを追いかけなかったんすか?○○さんずっと迷ってたんです。だから、行かないでって俺言ったんです。そうしたら、『もし、三郎が止めるなら、行かないかも』って、悲しそうに言ったんです。なんか、止めない事分かってたみたいに言うから、よけい悲しそうに見えました。」
そっか…やっと○○さんのいった意味がわかった気がする。もしかしたら○○さんが一番傷ついてるのかもしれない。
なぜ、三郎は○○さんを止めなかったのか…
○○さんは止めない事を分かっていたのか…
それはきっと…僕のせいなんだ。
なんで僕は、○○さんの気持ちに気づけなかったんだろう。三郎のことだって、僕はなんにも分かってなかったくせに…なんであんなお節介ばかり…そのせいで二人は辛い結果になってしまった。
「……ねぇみんな。」
「どうした雷蔵?」
「三郎を今度○○さんの所に連れてこよう。僕たちにはそれしかできないと思うんだ。」
こんな事態にしてしまったのは、僕なんだ。
だから、僕ができることをすべてしよう。
(○○さんは、きっと心の中で泣いていた。ずっと、ずっと、泣いていたんだ。)