何やら箱に入れたと思ったらしばらくして、ペラペラな皿に乗せた食べ物を私の前に置いた。食えということか?
なかなか箸をつけない私を見て女は、一口二口食べてからまた箸を私に渡す。
食べれると思ったら情けないことにものすごく腹が減った。
「おいしい?」
聞かれて我に返るまで俺はバクバクとその食べ物を食べていた。
「ねぇ、美味しい?」
「初めて食べる…」
正直にいうと、女は満足そうな顔をした。
そして、また口を開いた。
「ねぇ、質問するから答えられたら答えてね。君ってまさか…忍者とかだったりする?…ひっ」
忍者…その単語で思わず睨んでしまったが、敵ではないだろう…敵ならどこの城の者だと聞くだろうし、睨んだだけで悲鳴をあげたりしないしな。
「なぜ聞く?」
「えっ…あり得ないから。」
あり得ない?思わずそう復唱した。
忍者がいることがおかしいって言うのか?分けが分からん女だな。
立ち上がった女は、布を引っ張って私にその奥を見せた。話によれば、それは外だと言う。(女は、このガラス板は窓だとか言った。窓とはなんだ?)
それよりも私は、外に驚愕した。
月があることから夜のはずなのに、なぜこんなに明るい?
なぜこの場所はこんなに高い?下を走る箱はなんだ?あの赤い光は…緑の光は…
「まさか…とは思うけどね、私の考えが正しくて、君が記憶喪失かなんかじゃないって言うなら…」
窓と言われるガラス板に張り付きまだ唖然とする私に申し訳なさそうに女は続ける。この時代と違う時代の人間なんじゃないか?と。
ひきつった顔で言い切った女に私は腰を抜かした。あり得ないよね?女は、そうであって欲しいように呟いた…だが、私もその考えに賛同を示すしかないだろう…話が通じることから日本であることは間違いないが、周りにあるものが全く違うのだ。私が知っているものがない…知らないものばかりだ。
手まねかれて窓の近くに近づくために立っていた私は、足を一歩引いた。ら、何かを踏み、その瞬間向こうにあった箱が光小さな人物が現れた…敵か?
考えるよりも早く体が動き思わずクナイを投げてしまった。
ひっ、テレビ!
と言う女の泣きそうな声からして大切なものだったのかもしれない…まずいことしたな。
「あぁ、夢だと言って嘘だと言って…あり得ないじゃない漫画の世界じゃないんだから…」
その後女は、ぶつぶついいながら色々変なものを見せてきた。
驚く私の反応面白がっているように笑う女に少しイライラするが、最後に
「とりあえず、テレビ買わなくちゃ。」
と呟かれたから何も言えなかった。
窓
(テレビとかいうからくり壊してしまって悪かったな。)
(いいよ…そろそろ地デジ対応に買い換えなきゃならなかったし)
(地デジ対応?)