「おいしい?」
あのあと、なんとか少年をなだめて弁当を温めて与えると最初は疑った目で私と弁当を見たから、
私が一口二口食べた後、箸を渡すと安心したのかがっついた。
お腹減ってたのかな?
「ねぇ、美味しい?」
「初めて食べる…」
オムライス弁当を気に入ったのか、また食べ始めた。
よく見たら、大人っぽい顔してるけどまだ幼いな…
こんな子がなんで私の家にいるんだろ?
物取りにしては、なんか雰囲気違うし、そこらの若者となんか…オーラってのかな?が違う。
一番違うのは、服装。他にもなんかおかしい。
レンジに驚いたり、ビニール袋や弁当のプラスチック容器を興味津々で見つめたり、なんか変。
私の頭にトリップと言う単語が浮かんだ。
まっさか…あり得ないよね?私漫画読みすぎだわ。
でも…一応ね…
「ねぇ、質問するから答えられたら答えてね。君ってまさか…忍者とかだったりする?…ひっ」
ジトッと少年が私を睨む。なんで私睨まれるのかな?
「なぜ聞く?」
「えっ…あり得ないから。」
あり得ない?そう復唱する彼に手招きをして呼び寄せて、
閉めていたカーテンを引いて彼に外を見せてみる。
「まさか…とは思うけどね、私の考えが正しくて、君が記憶喪失かなんかじゃないって言うなら…」
マンションやイルミネーションでキラキラする夜の町を彼は目を丸くして見つめた。
「そんでもってこの風景が珍しいっていうなら…君、この時代の人間じゃないってことじゃないかなと…」
ひきつった顔の私と目を見開く少年。
少年が後ろに一歩下がるとたまたまリモコンを押してしまい、ついたテレビに驚いて少年がクナイをテレビに投げた…
嫌な音を立ててテレビは見事に壊れた。
あぁっ!!私のブラウン管テレビ!!
「あぁ、夢だと言って嘘だと言って…あり得ないじゃない漫画の世界じゃないんだから…」
自分の状況が理解できてない少年に、携帯やらラジオやらを見せてやるとやっぱりビックリしてた。
信じがたいが、やっぱりそうなのかな…。
「はぁとりあえず、テレビは買い換えだな。」
ブラウン管テレビ