「3、2、1、0っ明けましておめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
年越しそばのどんぶりを洗う三郎は、ちょこっと頭を下げながら礼儀正しく返してきた。
初詣
「寒っ」
「冬だからな。」
近くに初詣に出てきたは良いが混んでるし寒いしでさんざん。
本当に冬の寒さが身にしみる。風が吹くたびマフラーと首の間から冷たい空気が流れ込んできてつらい、辛い。
そんでもって、身震いしながら歩くもんだからいつも以上に歩くスピードが遅い私に気づいた三郎が止まってくれた。
なんて優しい奴。
「ほら、はぐれると困るからしっかりつかまれよ。」
「もちろんです。」
寒い寒しとぶつぶつ言いながら迷わず私はギュッと腕にしがみつき、やっぱり三郎はカッコいいなと実感したりしてます。
「あっ三郎、おみくじ引こう」
「お守りも買うか…」
「そしたら、なにか食べよう」
「甘酒もたまには良いな」
「酒っ」
「甘酒な。」
三郎と会話しながら混雑し始めた道をゆっくり進み、
手の中にある55円を握りしめながら、また一年…三郎と暮らせますように。とお祈りしようとひっそり心に決めた。
(吉だ…)
(大吉)
(三郎いいな…)