「デートしよう?」
土曜の朝。○○が上機嫌でそう告げる。私は、別段やることもないしその提案を飲んで支度を始める。
珍しく車でなく徒歩で出掛けると言う○○に従い、歩いていくと見事な桜が満開の花を抱いていた。
そうか…今は春なのか。
「たまには、風情があっていいかなって。」
春はやっぱり桜でしょ。ふぅ、花見酒はさぞ美味かろう。
続ける○○に思わず吹いた。まったく何を考えてるかと思えばこれだ。本当に酒が好きだな…。
まぁ、私がついてるからには昼からの飲酒はさせないが。
「綺麗だな。」
「うん。」
嬉しそうに私の腕にギュッと抱きついてきた。
幸せ。その言葉の重さが今やっとわかった気がする。
花降る中で幸せの意味を知る。
(ねぇ、三郎君)
(だめだ。)