「テツくぅーん! 好きぃー!」

「…………」


「テツくん超好きー!」

「…………」


「テツくんラブラブ、フォーリンラブ、ちゅっちゅー!」

「あの……桃井さん。あまりむやみにくっつくのはよしてくれませんか?」

「えー、なんでぇ?」

「僕は男だし、桃井さんは女の子なんですから」

「ぶうっ、テツくんったらお固いんだからぁ。こうなったらむりやり既成事実でも作っちゃおう、か・な」

 無邪気に笑いながら、桃井は人差し指を頬に当てて小首を傾げた。それをチラリと横目で見た黒子は、特になんの感情もない顔を一ミリも動かさないまま、

「作りますか? 既成事実」

 さらりと放たれた爆弾返しに、桃井は言葉を忘れて硬直した。火が着いたように、一気に顔がボッと赤くなる。

 「えっ、あ、う、そのっ」などと、言葉にならないものを必死に身振り手振りと共に発する桃井の頭を、黒子はそっと撫でた。



「黒子っち、なんか周りに花飛んでるッス!」

「やべぇなぁ、あれ。ものすごくヤバい気配を感じるわ」

 離れた所でひっそりと騒ぐ、青と黄色の少年の声を、おそらくだれも知らなかった。




―――――――――――

やってしまった…
にわかはこれだからいかん。




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