三日目



チュンチュン……。

「昼までに里につけるようなペースで行くぞ。」


「ふぁーーい。」


昨日は結局野宿だったから目覚め悪い…わけではないけど気分は良くない。
だって服がないから。


今は狐さんに借りた上着を一枚着ているだけ。下着も身に着けてないから気持ち悪いことこの上ない。

「言い忘れてたが、里の結界内に入ったら記憶操作は解除して良い。」

「え?あぁ、はい。」

きっとまた気を使ってるんだろうな。…そやあ、こんな疲れた顔してたらねぇー。

ま、ただ単に服着れなくて気持ち悪いだけなんだけど。


って、忘れてた!!!昨日の水遁のこと、総隊長に記憶操作掛けるの忘れてた!!

…何だかんだでごまかせたけど、やっぱり忘れてもらったほうが良いわけで。


「あのー…。」
「何だ?」
「昨日の…オオカミに襲われたときのことなんですけど……見ましたよね?」


「………は?いや、…その。」


やっぱり、疑ってる、よね。


「いや、アレは見なかったって言うほうが無理あるんでそれは良いんです。」

「…まぁ、見た…けど、そんなに見てないから安心しろ。」

「あ、見たもんは見たもんで良いんです。
…ただ、あのことは他言しないでもらえますか?」


「……え?」


「ですから!私が昨日使った術とかチカラのことは他言しないで欲しいって…。」


「あ、あぁそっちか。別に他言したりしねぇよ。」


……そっち?


「…狐さん、一体何のことだと思ったんですか?」

「細かいことは気にするな。
…それより、他言はしない。だからお前もそれ以上追及するな。」

「まぁいいや。あ、いつもはちゃんとバレないように記憶操作を掛けるんですよ。
暗部の人といっても私レベルまで来ると楽に記憶操作できますよ!
けどさすがに総隊長とまで来ると…「お前、何で俺が総隊長だって知ってるんだ。」




「……あ。」



何言っちゃいけないこと平然と言っちゃってんの私ーーー!!!!

バカバカバカバカバカーーーー!!!!これじゃあ

私暗部だから狐さん=総隊長って知ってるの、うふっ(はぁと

って言ってるようなもんじゃない!!


やっべ、びっくりするくらい空気重いんだけど。
しかも総隊長から心なしか殺気みたいなのが見えるんだけど気のせいだよね!?


「ええと、それは何といいますか、実は『見つけたヨ、オヒメサマ。』


バッ……


「誰っ!?」


サァァアアァ…

ここは森の中で私の記憶操作も間違いなく働いている。
つまり、半径1キロ圏内ならば私と総隊長がどんなに騒いでも聞こえるわけがない。と言うか存在自体が認識されない。


『そんなに怖い顔しないでヨ。ただ、キミのチカラがちょっと必要なだけ。』


チカラ……って、どういうこと?私のチカラのことは里外には漏れていないはず…。


「チカラ?悪いけど何のことかさっぱりね。それに、用があるならコソコソしないで出てきたらどうなの?」


ーーー…シュッ



「改めて…初めまして、姫ーー…と、木の葉の暗部さん。」

「何処の里の者だ、お前。こいつのチカラのことをどこで知った。」

「昨日湖で偶然。いやぁ…見た限り素晴らしい治療法だネ。
それに聞くところによればどんな怪我も治せるとか…。ぜひとも力を「貸すわけない!」


もー、何なのこいつ!私のことは詳しく知らない…っぽいし、でもチカラの事は知ってる?

…って、それよりも何よりも。


「なぜ私たちの姿が認識できるの?」


「あぁ、私は昔からこの手の記憶操作をすり抜けることが得意でしてネ。さぁ、それよりも早く…。」


「お前あいつに集中しすぎだろ。」



ザシュッ……。



「戦闘中に気を抜くなって、忍ならそう教わらなかったか?下忍以下だな、お前。」


今…総隊長の動き出しから敵を切りつけるまで……全く見えなかった。


……これが、暗部最強の男、狐。



『気を抜く?あなたのような強い方を前にそんなことするわけがないでしょう。』



うそ!?だって、確かに今クナイが……


「変わり身の術?でも相手の気配が移動した感じはないし……。」



「おや、気を抜いてるのはオヒメサマも同じみたいですネ。」


しまっ……"グサッ"


「っ!!」


油断したっ…。暗部なのにヘボな振りとか言って気を抜きすぎた。
こうなればアレで片を……。



「姫、下がってろ。」


フワッ…


「え……。」




それは 一瞬の出来事。早すぎて私には理解できなかった。


だって……気がついたら相手が倒れてて…。
え!?今、何が……。


「悪ぃ、相手を見くびりすぎて結果お前に怪我させた…。」

「ぇ?あ、うん。別に平気…。」


「本当は自分のチカラを使って治したほうが良いんだろけど…さっきみたいなのがまた来るともかぎらねぇからちょっと我慢してろ。」

「別にこのくらい平気だよ。…それに、私のチカラは自分自身には使えないし(ボソッ)」


「…どういうことだ?それに、さっきのことも…「とにかく今は一秒でも早く里に戻ってこのことを火影に伝えないと!」


「……そうだな。じゃあちょっと我慢しろよ?」

「だからそれはもう平気だって「そっちの我慢じゃねぇよ。里まで一気に走る。抱えていくから暴れんなよ?」


そう言うや否や私を抱え上げ颯爽と走り出す……って、うそでしょーー!?




――木の葉総合病院


「じゃあ傷の手当ちゃんと受けろよ。俺はこれから任務報告に行ってくる。
お前はこのまま帰っていい。
何だかんだ、暗部並みの速さでつれまわしたからな。…代わりに明日の朝火影室に来い。
今日のことと諸々のことを含めお前には聞きたいことが山ほどある。」


「はぁ…ありがとうございました。」


シュッ


相変わらず速いなぁ。ってか、別に疲れてないから良いのに…。
それに、私の怪我は人よりも早く治るからかすり傷くらいで病院は行かないわー。


…ま、総隊長はそんなこと知らないから心配してくれたんだろうけど。


けど、もう隠しとおせそうにない、か。



「はぁ…お言葉に甘えて帰って寝るかー。
……ってか、あの時総隊長私のこと"姫"って呼んだよね?
うわっ、何か今更になって恥ずかしいな。
…それもこれも、総隊長の声がかっこいいのが悪いんだぁああ!!!」






(綱手、話がある。)
(姫のことだろ?それなら本人に直接聞け。私からは何も言えん。)
(………。明日の朝、あいつがここに来て諸々を説明してもらう。)
(…そうか。なら、明日聞け。私は忙しいんだ。)
(ーーー…姫、お前は一体……。)









そして、夜はふけていく。

















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