休日の彼と私(マスターの憂鬱)
「またやってしまった…」
「マスターどうしたんですか?」
あやかのガウェイン事情を知っているサブマスに問われ、声を落として話し始めた。
「いや…あやかさんがお楽しみの時にいつも入ってしまって…いつかガウェインに焼き殺される気がする」
マスターは大きなため息をつきながら収支表を眺める。
「部屋にいるときはドアを開けないのが一番ですねー」
「そうします…。でも不思議なのは、なんで彼女は召喚したガウェインに触れられるんでしょう?」
「…確かに」
話していたサブマスが試しに自分のニーズヘックを召喚してみた。そしてその腕に触れようと手を伸ばす。
「いきますよ…」
だが腕は彼女の体を貫通する。実体はあるのに触れることはできない。それが普通だ。
「ありがとうニーズ」
「いいえ」
しゅん、とニーズヘックは消え、魔力の塊だけが杖に戻った。
「あやかさんが特別、とは思えないですし…僕らと同じ人間です。マスターやサブマス権限でできるなんてことは聞いていませんし、自分もマスターですがそんなことはできません」
「ということは、ガウェインが異質?」
「です、かねぇ」
二人は首をかしげ、答えの出ない疑問に挑み続けるのだった。
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