ep.3

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「彼氏ができたの!」

友人の意味がわからない発言で私の休日は始まった。
つい先日、彼氏と会うからと私に仕事を頼んで先に帰った友人の、突然の彼氏できました宣言に脳みそはついていかない。というか、朝六時に電話で友達を叩き起こして第一声がそれ…?と思ったが口には出さない。

「どういうこと? 付き合ってた外資系の彼氏は?」
「わかれた!」
「で、付き合った人は?」
「前紹介したお店の店長!」

この子にお店なんて紹介してもらっただろうか。ホスト好きな彼女だが、私はそんな店に興味がないからといつも誘いを断っていた。

「どこのお店よ…よく行ってた、あのーえっと、コウジ? って人がいるとこ?」
「は? 違うって!」
「もしかして酔ってる?」
「だいぶ酔ってるけど、彼氏ができたのはほんとー!」

聞けばその彼氏さんとやらは一緒にいないらしく、酔っ払ったまま朝の街を歩いて帰るらしい。心配になった私は日焼け止めを塗って、眉毛だけを描いて彼女を迎えに行った。

「あやかー!」
「もー、大丈夫?」

大丈夫大丈夫!とふらつきつつこちらにもたれかかってくる彼女を支えながら駅に向かって歩く。
この辺りにある、この子に紹介してもらったお店、とふと思考を巡らせた。
春に行ったバー?

「ね、ねぇ」
「うーん?」
「紹介してくれたお店ってさ」

まさかそんな、そんなことはないだろうと。
もしそうだったとしても彼女と彼が付き合っても、私には関係のないことだし。

「カラオケのとこ曲がって裏路地みたいなところにあるバー?」
「そだよー」
「そっか」

なんで私、泣きそうになってるんだろう。

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