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No.51




「なめこ」


んふんふ、とよく分からない言葉で返してくるなめこを、優しい手つきで撫でる里奈ちゃん。すごく絵になる光景だと思う。少女となめこの心が通い合う瞬間、というか。実際は里奈ちゃんがなめこのさわり心地を堪能しているだけなのだけれど。
楽しい?と聞くと彼女は小さく頷いた。一部ではおさわり探偵とも呼ばれている(本人は嫌がっているけれど)里奈ちゃんは、こうして色々なものの感触を確かめるのが好きなんだそうだ。そういえばこの前は出版社が彼女の書くさわり心地図鑑を出版したいなんて声をかけてきたそうだけど、あれは結局どうなったんだっけ。


「なめこって気持ちいいの?」
「うん」
「へえー」


里奈ちゃんがそういうからには相当なのだろう。なめこは私に触れさせてくれないから、確かめることは出来ないけれど。
「でも」里奈ちゃんが顔を上げる。吸い込まれそうなほどに綺麗な、宝石のような瞳だと思った。


「名前も、…すべすべしてて、気持ちいい」
「…えへへ」


少しだけ口元をゆるめて、里奈ちゃんは私の手を握った。その仕草に、甘えんぼだなあ、と思いつつ、私は彼女の期待に応えるように柔らかな髪を撫ぜてみせるのだった。





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