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俺は階段の上からじっくりとエントランスを見渡す。
ミッションから帰ってきてだらだらしている人もいれば、これから出撃する人もいる此処は、自然と人口密度が高くなる。
今の時間は食堂なんかにも結構人は集まっているが、食事を摂っている人たちに声をかけるつもりはない。急かしちゃあ可哀相だし。
ごほんと咳払いをして、声を張り手を挙げた。


「俺と一緒にサリエル討伐行ってくれるひとー!」
「はいっ!」
「あっ、あのっ、私も行きたいです!」
「迷惑でなければ、ご同行させていただける?」


第一部隊隊長である俺の言葉に耳を傾けたのはほんの数人だった。少し悲しい。
さて、その数人である俺の友人達は、心なしかきらきらした目をしながら集まってきてくれた。うん、素直で宜しい。
アリサとカノンとランカは俺の傍に駆け寄って、それぞれ声をあげる。


「奇遇ですね!丁度私食後の腹ごなしをしたいと思っていたんですよ!」
「私も、神機のメンテナンスを終えたので肩ならししたいです」
「私は…素材集めだけど、如何かしら」
「うむ、ご苦労!んじゃ、15分後にもっかいエントラスに集合な」


集まりが良くて大変嬉しいです。だが同じ第一部隊であるコータにガン無視されたのは一体どういうことだろう。後でしばく。
いつの日だったか判明したアリサとカノンが仲悪いという事だが、まあ、任務ともなれば二人とも一蓮托生してくれるだろう。サリエル一体が相手だから、乱戦にはならないだろうし。
そんな事を思っていた俺は、1時間後後悔することとなる。





「射線に入るなって…私、言わなかったっけ?」
「言ってないですよ!キーッ、もう貴女には絶対リンクバーストしてやりませんからね!」
「なにがあった」
「…」


鉄塔の森は霧が多いが、俺達のいる場所は見通しが良い。
そんなわけで、少し離れた位置でサリエルと戦っているアリサとカノンを、オウガテイル種をいなしながら眺める俺とランカ。どことなく空気が寒い。
討伐対象外である雑魚敵を倒したら直ぐに合流することになっていたのだが、なんとなく、合流しにくい。
そう思ったのは俺だけではないようで、モルターを撃って回避したランカも、はあ、とため息をつく。
あ、オウガテイル死んだ。


「…リーダー」
「ちょっと待って、今向こうに行ったら俺誤射祭りで死にそう」
「否定はしないけど」


というのも、何だか、カノンの誤射っぷりがいつもより三割ましな気がするのだ。
先ほどからアリサがジャンプするのと同時に爆発系のバレットが発射され、哀れ新型空に舞う。
もう、なんつーか、サリエルが置いてきぼり。
まずったかなあ…窮地に追い込まれれば一致団結するだろうと思ってこのメンバーで分断する事にしたんだが。
アリサもアリサで先ほどから何度も捕喰しているのに一向にリンクバーストする気配が感じられない。


「いつもは積極的にリンクバーストしてくれるんだけどなあ」


俺の言葉に、隣にいたランカがなんとも言えぬ表情を浮かべた。


「リーダーも、大概鈍感よね」
「あらら、酷い事言ってくれる。…なあ、ランカ、まだこのエリアにアラガミがいるかもしれない。見回ってこねえ?」
「現実逃避は止める事ね。さあ、サリエルを倒して帰るわよ」
「はっはー」


神機を構えなおしたランカが、小走りで向かう。俺も、これから起こる事態に胃を痛めつつ、剣形態のまま追いかけるように走っていった。


ゴッドイーターVS!?


「リーダーがどっちかに靡いてくれれば、万事解決なのよ?」
「何を言ってるのか分からないんだけど取り合えず誤射女王をどうにかしてくれないか」
「射線に入るなって…って、逃げないで当たりなさいよ!」
「貴女こそいい加減倒れてくださいよ!」


変なことを言うランカにそんな事を懇願しつつ、カノンから隠れるべく必死にサリエルの背中に回り続けた。もう俺の癒しはサリエルだけな気がする。

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