稲妻11 | ナノ




(下ネタ)


俺の部屋で主婦宜しくスーパーのチラシを見ていたなまえが、あ、と小さく声を漏らした。


「見て見て不動。」


テレビゲーム(某カートレース)に夢中な俺の目の前にずずいと示し(邪魔だ馬鹿)、否応にも視界に入れさせる。あ、落ちた。『あー』というキャラクターのうなだれた声が遠くに聞こえる。

チラシの内容は至って普通のものであり、彼女が見せてくる理由がわからない。顔を顰めた俺に気づいたのか、なまえは此処よ此処、と指差した。


「見て、バナナ30円。」
「それがどうかしたかよ。」
「でもほら、苺は350円。」
「はあ?」


言いたい事が分からず、俺はそのチラシをぶん取って投げる。紙という事もあり、そう遠くへは飛ばなかった。ゲームはもう既にゲームオーバー。再戦しようとコントローラーを握りしめると同時に、チラシを手にした彼女が隣に座った。


「私の好きな苺は350円、不動の好きなバナナは30円よ。…勝った!」
「いや何が勝っただよ。苺が高いのは供給度が低くて鮮度落ちるの早いからだろ。実質バナナの方が需要あるじゃねえか。」
「…痛い所を突くじゃない。でもね不動、苺の方が人気なのよ!だってバナナは何処となく卑猥な形で彼氏の前とかでは食べられないじゃない!」
「おい殺すぞ。」


訳の分からない理屈にため息もでない。そうこうしている内にゲームは第二ラウンド。コントローラーを傾ける俺を全く気にせずに言葉を続ける。


「だから、今日のおやつは苺が良い。」
「勝手にしろ。」


なんで高い方を選ぶんだと思いつつ、しっしっと手を振った。


バナナの格差社会
(でもね、私はバナナは嫌いでも不動の事は好きよ)
(ああそうかい。…え?)







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