稲妻11 | ナノ






「ねえなまえ?」
「なあに吹雪君」
「キスしていい?」
「だっだめ!」


思わず拒否して距離を取る。吹雪君の沈黙が胸にじくじくと突き刺さる。


「…付き合いはじめて、三ヶ月だよ?」
「うう…、」
「なまえは僕の事、嫌い?」
「違う!す、すきだけど…」


力無くうなだれる。吹雪君は寂しそうに眉をひそめた。私だってその、キスとかは興味あるけど、それはやっぱり私的には場所というか時間というか、ムードというか…そういうのを求めてしまう。


「ムードねえ…」


呟いて、がさごそ、吹雪君は鞄から小さな箱を取り出した。大切そうに手の平で包んで、口を開く。


「これ、なまえにプレゼント。」
「え、?」
「いつも一緒にいてくれてありがとう。」
「吹雪く、ん」


どきどきどき、高鳴る鼓動。私達は惹かれあうように互い視線を絡めあい、そして


「やっ、やっぱりだめー」
「あう。」


直前になって顔を逸らすと、吹雪君は残念そうに唇を尖らせた。

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(ちなみにこの箱の中って)
(ああ、えっと、チョコだよ。僕食べちゃったけど)
(吹雪君欲望に忠実だよね)





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