「ねえなまえ?」 「なあに吹雪君」 「キスしていい?」 「だっだめ!」 思わず拒否して距離を取る。吹雪君の沈黙が胸にじくじくと突き刺さる。 「…付き合いはじめて、三ヶ月だよ?」 「うう…、」 「なまえは僕の事、嫌い?」 「違う!す、すきだけど…」 力無くうなだれる。吹雪君は寂しそうに眉をひそめた。私だってその、キスとかは興味あるけど、それはやっぱり私的には場所というか時間というか、ムードというか…そういうのを求めてしまう。 「ムードねえ…」 呟いて、がさごそ、吹雪君は鞄から小さな箱を取り出した。大切そうに手の平で包んで、口を開く。 「これ、なまえにプレゼント。」 「え、?」 「いつも一緒にいてくれてありがとう。」 「吹雪く、ん」 どきどきどき、高鳴る鼓動。私達は惹かれあうように互い視線を絡めあい、そして 「やっ、やっぱりだめー」 「あう。」 直前になって顔を逸らすと、吹雪君は残念そうに唇を尖らせた。 スタートに戻る (ちなみにこの箱の中って) (ああ、えっと、チョコだよ。僕食べちゃったけど) (吹雪君欲望に忠実だよね) |