稲妻11 | ナノ




(GL/病んでる)


「うっふふふふなまえちゃんたら何怯えてるの?せえっかく、私が可愛い腕輪買ってきてあげたのに、逃げるなんてひどいよねえ。結構高かったんだよ?動かないでね、ずれちゃったら痛い、でしょう?」


天使のような笑みを浮かべながら悪魔のような代物を持った春奈ちゃんがじりじりと私との距離を詰めてゆく。逃げなきゃ、ここにいては危ない。頭はそう悲鳴めいた危険信号を送っているのに、腕は、足は、鉛のように重かった。春奈ちゃんは私に覆いかぶさって、私の手首を、骨が折れてしまいそうな程に締め付けた。あ、あぐ、漏れ出る声を煩わしく思ったのだろうか、彼女は唇を重ねてくる。食べられる!そう思ってしまうほど濃厚で厭らしいそれを体感しながら、手首に冷たい鉄が触れた気がした。唇を離し、春奈ちゃんは満足そうに舌なめずりをする。頭上にあった腕をさげると、両手首が、金属によって捕らえられていた。硬質で無機質、私は漫画やドラマでしか見たことのないそれに血の気がひくのを感じた。


「手、枷…」
「てかせ?違う、腕輪よ」


私の言葉を即座に否定した春奈ちゃんは、心底楽しそうに笑っていた。なにが、そんなに楽しいのだろう(判っている癖に私は、見て見ぬ振りを)。


「これからなまえちゃんは私とずーっと一緒にいるのよ。学校には通わなくていいの、前から勉強が嫌いだったなまえちゃんにはいい話でしょ?私の家にね、空いてる部屋があるの。地下なんだけど、居心地はいい筈よ。なんたって私が貴女の為に用意した部屋なんだから!朝は少し遅めに起きて、絵を描いたり歌を歌って。あ、ご飯は私が作るね。なまえちゃんの為に私、お料理の勉強頑張ったのよ!午後はまったりと過ごして、夜はお揃いのパジャマを着て一緒のベッドで寝ましょう!楽しい楽しい毎日を過ごすの!」


そこまで言って、春奈ちゃんは私の頬をてのひらで押さえ付けた。目を逸らすことが出来ずに、彼女の深い瞳と視線が交わる。


「私となまえちゃんの間に立ちはだかる邪魔者は、みいんな、」


ばらしてあげるからね、と耳元で囁かれ、処理しきれない事態に目眩がした。何がおこっているのだろう、と。ここはどこなんだろう、と。さっきまで一緒にいたクラスメートはどうしたんだろう、と。考えることすらできない頭が、憎らしかった。春奈ちゃんは私の眼球をべろりと舌で舐める。言いようのない痛みを感じた。




untimely flowering
(随分とおはやい目覚めですこと!)







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