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aph・香





香くんの寝顔はとっても可愛い。そんなことを知ったのは、彼が私に膝枕を強要するようになってからだ。いやでも目に入る彼の整った顔、読書に集中しようとしてもどうしてもドキドキ鼓動が早くなってしまう。あーなんて可愛いんだろう。


「…ちょっとくらい」


ふいに、悪戯心がわいて、私は本を足元に下ろした。自由になった指で、頬をつついてみる。


「…やわらかっ」


餅のような肌。おまけに、しっとりすべすべ。どんな洗顔料を使ったらこんな風になるのだろう。少し、女として嫉妬の感情もわいてしまう。すーっと指をなぞらせてみる。長いまつげね。女の子より女の子っぽいんじゃないだろうか。


「可愛いなあ」


ぷにぷに。そんなことをしていたらふと、指先が唇に触れた。慌てて指を離す。「あっ危な!」正直こんなことしている自分が恥ずかしくてたまらなくなり、私はまた読書を再開しようと本に手を伸ばした…そんなとき、私の腕を誰かが引っ張った。


「ぎゃっ!?」
「可愛くねー悲鳴」
「あわわわ、香君!?」


どうやら私の腕を引っ張ったのは香君のようで。彼はにこりと微笑んだ。


「で、続きはしてくんないワケ?」


天使のような寝顔だったはずなのに、今の彼は私には子悪魔のような笑顔に見えた。






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