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aph・エリザ(百合)






「エリザベータさんエリザベータさん!」
「あら、なあに?」


私の声を聞いて、彼女はとんとんと包丁を動かしていた手を止めて私の方に振り返った。うん、良い匂い。今日の夕飯は何だろうか。…って、そんなことじゃあなくて。ええっと。


「エリザベータさんには好きな人はいますか?」
「いきなりどうしたの?」


質問返しで来ましたか…!「特に理由はないんですけど、なんとなく」そう答えるとエリザベータさんは小さく首を傾げてみせた。


「…ローデリヒさん、かしら」
「ローデリヒさん!確かにかっこいいですもんね」
「…あっ、でも、恋とかそういうんじゃないからね。あくまで親愛としてよ」
「そうなんですか!」
「随分お世話になったしね」
「でも意外です、ギルベルトさんじゃあないんですか?」
「アイツは論外よ」


爽やかなくらいの笑顔でそう言い切るエリザベータさんの後ろにただならぬ物を感じて私は彼女と同じくらいの笑顔でごまかすことにした。次いで、彼女は「貴女には好きな人はいるの?」と聞いてくるものだから、私は笑顔のままはい!とうなずいた。


「応援してくれます?」
「もちろんよ!私がキューピッドになってあげる!」
「そうですかあ、良かった!じゃあ私達両思いですね!」
「あら、どうして?」


私は後ろ手に持っていためいっぱいの花束を差し出した。


「私、エリザベータさんの事を愛してますから!」





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