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稲妻・ウルビダ(百合)






悪戯のつもりで、私は絵の具で作った赤い液体を服に塗りたくった。ダイジョーブ、これはもういらない服だから。鏡を見ながら頬に絵の具を塗って、さあ被害者のカンセイ。その格好のまま廊下を歩いて…時々すれ違う人達にすっごいヘンな目で見られたけど…目的の部屋のドアをガチャリ、と開けた。


「ん?誰…なっ…!?」
「うっ…ウルビダぁ…」


内側に開くドアの隙間から身を乗り出して、倒れる。いかにも力を失ったかのように。「どうしたんだ!?」本を読んでいたらしく、ウルビダは慌てて本を放って私の元へと駆け寄った。


「えへへ…ちょっと、しくっちゃって」
「な…しゃ、喋るな!血が…………血?」


流石に近くまで来たら気づいたらしく、ウルビダはいぶかしげな表情を浮かべて私の服に触れた。匂いを嗅ぐ。明らかに血の匂いではない。案外気づくの早かったなあ、流石ウルビダ。


「…おい、お前」
「えへへードッキリだいせーいーこーう」


パンッ、と乾いた音が部屋に響いた。ウルビダが私の頬をひっぱたいた音。よく見てみると彼女はぼろぼろ大粒の涙をこぼしていて、私はどうしようもない罪悪感に襲われた。あああどうしよう、どうしよう!ウルビダが泣いている!


「馬鹿かお前は!心配、して、このっ、大馬鹿!」
「ご、ごめん…ごめんねウルビダ」


おろおろと手が空をさ迷う。指で彼女の涙をすくった。「ごめん、本当ごめん」ウルビダはいくらか落ち着いたのか手で口元を覆って、ばか、と呟く。


「…こんなに心配させたんだから、今度買い物に付き合え」
「えっそれはもしかして私の財布すっからかんフラグ…?」
「うるさい!…もう。さっさと着替えろ」


私の髪をわしゃわしゃと撫でて、ウルビダは言った。「ごめん」「もう良いよ」彼女の笑顔を見ることが出来たのは、喜ばしいことだった。





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