太陽がこんなに照り付けてくるというのに、雷門サッカー部は今日も元気だ。ドリンクを運びながらグラウンドの方に目をやると、本当に楽しそうなみんなが映る。「元気だねえ」「そうね」一緒にドリンクを運んでいる夏未さんが笑った。 「こんな暑いのに、よくやるよね」 「本当、…頑張るわね」 そんな夏未さんが見つめていたのはやはりというか、ゴールキーパーの円堂君だった。 「…ふふ、夏未さんってホント、円堂君のことだあいすきだよね」 「なっ、何を言ってるのよ!ふざけるのも大概にして!」 「顔真っ赤にしてー。可愛いなあ」 「ななななな」 「あっ、二人とも!こっちこっち!」 茹蛸のような夏未さんをからかっていると、遠くの方から私たちを呼ぶ声が聞こえた。秋さんだった。「りょうかいでーす!」「あっこら!待ちなさいなまえ!」ドリンクを両手いっぱいに抱えたまま走ってゆくと、にこにこと微笑む秋さんと春奈ちゃんがいた。 「先輩がた、何を話していたんですかぁ?」 「えっとねー春奈ちゃん、」 「コラなまえ!口を慎みなさい!」 「あはは、夏未さん、落ち着いて」 この話は後でね、と可愛い後輩に言うと、夏未さんはなまえー!と叫んだ。どうでも良いけど夏未さん変に注目浴びてるよ。 「それにしても、円堂君はモテモテだねえ」 「ふふっ、そうですね」 「こんな可愛いマネジに思われているだなんて、円堂君ってば罪深い…」 台詞の途中で秋さん達に視線を向ければ、該当する二人は思わず目をそらした。初々しいなあ。 「ね、皆は今度の花火大会行くの?」 「花火大会?ああ、そういえばあったわね」 「私はおにいちゃんと行きますよー!あ、みょうじ先輩も一緒に行きませんか?」 「えー、兄妹水入らずなのに悪いよー」 「そんなことありませんって!…ところで、木野先輩がたはどなたかと一緒に行かないんですか?」 「え、い、今のところはとくに…」 「…秋さん、夏未さん、ファイト!」 「なっ何がファイトなのかしら!何が!」 あははと笑う私と春奈ちゃんに、夏未さんが威嚇してきた。「あ、そろそろ休憩時間だね」秋さんの言葉に、私たちはタオルとドリンクを持ち上げた。 「あっ円堂君だよ円堂君!ほら、秋さん達タオルとドリンク持っていきなよ!」 「よっ余計なおせっかいです!」 |