米韓? ※学パロ 天上天下唯我独尊天下無敵の生徒会メンバー、会長アーサー・カークランド、副会長フランシス・ボヌフォワ、会計王耀、書記イヴァン・ブラギンスキの四人が教室の扉の外からこそっと中を覗いているという、シュールな光景を繰り広げていた。漫画のような、並びで上からイヴァン、フランシス、アーサー、耀と顔を出している。 時は昼休み、教室の前を通る生徒達は我関せずというように目をそらしていく。 生徒会メンバーの癪に障ると只ではすまないということは、学校内での暗黙の了解となっているのだ。 ところで、なぜこの四人がシュールな光景を繰り広げているのかというと、それは数分前、昼休みが始まってすぐのことだった。 昼休み、待ち合わせをしたわけでもないが生徒会メンバーは生徒会室に勢揃いしていた。と、言うのも生徒会室はいつでも快適に過ごせるようエアコンが完備されているからだ。 各々が昼食をとっていると、生徒会室の扉が開き、最後の生徒会メンバー副会長アルフレッド・F・ジョーンズが入ってきた。 「まったく耀、君の弟は恥ずかしがり屋なんだぞ!」 「菊のことあるか?」 「違うんだぞ!」 「じゃあ香あるか?」 「違う違う!」 「………湾は女の子あるよ?」 「そんなこと知ってるんだぞ!!」 「じゃあ誰のことあるか?我にはもう弟なんかいないあるよ?」 本当にわけがわからないという風に首を傾げる耀にアーサーがツッコミを入れる。 「いや、いるだろ!まだ一人!」 「そうなんだぞ!!勇洙がいるじゃないか!!」 「勇洙は恥ずかしがり屋なんかじゃねぇある!!むしろ羞恥心なんかクソもねぇやつあるよ!!」 「耀、一応食事中だからクソはないでしょ。」 話を聞いていたフランシスが関係ないツッコミを入れる。 耀は別に勇洙を忘れていたわけではない。多分。 ただ、恥ずかしがり屋から連想出来なかっただけである。 その為、アルフレッドから勇洙という名前が出たことには滅茶苦茶驚いたようだ。 「確かに、あいつのどこが恥ずかしがり屋なんだ?」 「さっき昼食を一緒に食べようと思って誘おうとしたら走ってどっか行っちゃったんだぞ!」 「それ、ただ君が嫌われてるだけじゃないかなぁ?」 「何か言ったかい?イヴァン?」 「別になんでもないよぉ。」 イヴァンとアルフレッドが笑顔で睨み合いを繰り広げている側で、残りの三人はコソコソと固まって話し始める。 「で、結局のところどうなんだ?」 「勇洙はアルフレッドをどう思ってるわけ?」 「嫌いではないと思うある。」 「じゃあなんで逃げたんだ?」 「アルフレッドの言う通り恥ずかしがったとか?」 「だとしたら我驚きある。」 三人がコソコソと答えのわからない話をしていると、ヒュッンと何かがフランシスの頬を掠め後ろの壁に突き刺さった。 それは、ボールペンだった。 「ちょっ!!!アルフレッド危ないって!!あと数センチで目に当たってたよ!!!」 「イヴァンが避けるから悪いんだぞ!!!」 「普通避けるじゃない。」 「って、イヴァンお前もシャーペン投げたあるか?!」 「扉に傷ついてんじゃねぇか!!生徒会室を壊す気か!!」 何故かアルフレッドとイヴァンは笑顔の睨み合いからシャーペンやボールペンの飛ばし合いをしていた。 理由は言い合いの発展だったそうだ。アルフレッドの「恥ずかしがり屋」発言とイヴァンの「嫌われてる。」発言が真っ向からぶつかったらしい。 なんとか三人で止めたもののまさに一触即発。むしろイヴァンはそれを狙っている感もあるが。 その為、こうしていても埒が明かないということで、勇洙に本心を確かめることになったのだ。 そして、冒頭に至る。 只今、丁度教室の中ではアルフレッドが勇洙に話しかけようとしている。それを、四人が覗いているのだ。ちなみに、四人揃って昼食途中だったため張り込み中の刑事みたいになっている。 教室中にいた他生徒達は、教室から出ようにも出られない状態になってしまった。 「やぁ!!勇洙、美味しそうな弁当だね!!」 「ア、アアルフレッドさん!!今日は菊が作ってくれたんです!!」 「君ん家は皆料理旨いくて良いね!!」 「あ、ありがとうございます!」 「一緒に昼食食べてもいいかい?」 「あ、はい!!」 それを聞くと、アルフレッドは勇洙の前の席に向かい合うように座り、手に持っていたハンバーガーを取り出す。 それを見て勇洙が口を開いた。 「昼食ハンバーガーなんですか?」 「そうだぞ?それがどうかしたかい?」 「いや、アーサーさんが毎日弁当作ってくれてるって、マシューが言ってました。」 「あぁ、だって不味いじゃないか!だから俺は持ってきてないんだぞ!」 それを聞いてアーサーが思わず教室に殴り込みそうになったが、フランシスが後ろから羽交い締めにしてそれを止める。 「アルフレッドのやつ!!毎日忘れてってると思ってたら故意かよ!!!」 「そりゃお前の弁当じゃ忘れたくもなるって!!」 「あぁ!!わかったある!!」 ポンと手を叩いて耀が声を上げた。アーサー達は何をだ、と首を傾げた。 それに対して耀が人差し指を立てて話し始める。 「きっと勇洙はアルフレッドがアーサーの弁当を持っていると思っていたから逃げたあるよ!!不味い弁当を一緒に食うのなんか嫌あるからな!!」 「あぁ、成る程。じゃあ勇洙君が嫌いなのはアルフレッド君じゃなくてアーサー君の料理ってことかぁ。なぁんだつまらないやぁ。」 「きっとそうある!兵器なんて見ただけで逃げたくなるに決まってるある!」 「耀!!てめぇ黙って聞いてれば、もうキレたぞ!俺がやった人形全部返しやがれ!!」 「嫌ある!!あれはもう我のシナティあるよ!」 「二人共静かにしないと勇洙に気づかれるから!!」 幸い扉の前の騒ぎは丁度勇洙の席からはアルフレッドが前に座っているため角度的に見えない。扉から離れている席なので騒ぎも昼休みの生徒達の談話に混じって聞こえないようだ。 「アーサーさんの料理ってそんな不味いんですか?」 「ああ!!あれはもう兵器だね!君の兄達と比べたら月とすっぽんなんだぞ!!」 「兄貴も菊料理上手いですから!」 「君も上手いんだろう?」 「自分じゃわかんないです。」 「なら今度俺に弁当を作ってくるんだぞ!俺が判定するから!」 「えっ?!えぇぇぇぇぇぇ!!」 アルフレッドの言葉に驚き勇洙が声をあげるが、アルフレッドはHAHAHAHAHAHAとそれを笑った。 勇洙は恐る恐る、確かめるようにアルフレッドに問う。 「ほ、本当にですか?」 「勿論なんだぞ!楽しみだよ!!」 アルフレッドはその問いに満面の笑みで答える。 一方、扉の外では勇洙のキャラが違うと耀が怪訝そうに、アーサーがアルフレッドの押しの強さを若干羨ましくしていた。 勇洙と言えば、どうしようかと言うように眉を潜めていた。そんな勇洙にアルフレッドはさらっと凄い言葉をかけた。 「好きな人に弁当作ってもらえるなんて嬉しいんだぞ!!」 「…………」 「どうしたんだい?間抜けな顔して!」 「……………好き?」 「好きなんだぞ!」 「…………誰を誰が?」 「俺が君を!!」 俺、と自分を指差し、君、と勇洙を指差してアルフレッドが言う。 勇洙はしばらく思考を停止したあとボンッと顔を赤くして口をパクパクし始める。 扉の外では四人があきれたようにしていた。 「流石AKY。」 「ムードもへったくれもねぇな。」 「あはは、アルフレッド君らしいね。」 「なんか勇洙が勇洙じゃねぇみたいある。」 一方、勇洙はやっとのことで声を出した。 余程驚いているのだろう。仕方ないのだが。敬語が外れていつもの口調になってしまった。 「な、何言ってるんだぜ!!!か、からかわないで欲しいんだぜ!!」 「からかってなんかいないんだぞ!!俺は本気さ!!!」 「だ、だって俺男なんだぜ!!!」 「そんなことわかってるんだぞ!!男とかそんなの関係なく君が好きなんだ!!」 「嘘なんだぜぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「本当なんだぞ!!」 その後も二人はずっと、「嘘なんだぜ!」、「本当なんだぞ!」と、言い合っていたのだった。 結局昼休みは終わってしまったが、その日から休み時間、昼休み、放課後と、逃げ回る勇洙をアルフレッドが追いかける光景が、度々目撃されるようになったのだった。それは、まるでよくある恋人達のおいかけっこのように見えなくもなかったのかもしれない。 その為、学校中に迷惑バカップル兄弟という言葉が密かに流行したそうな。 既に称号はバカップル!! 「好きなんだぞ!!!」 (「今更俺も好きだなんて言えないんだぜ!!」) 米韓好き過ぎるぞ!!!うっは!!! |