present!!! | ナノ



辺→列→←瑞

※ナタヤンデレ気味?
※死ねたあり












最初私がリヒに抱いた感情は嫉妬だった。私とは違い兄好かれていることが妬ましかった。腹がたった。でもいつからから、私は兄さんに抱いていたはずの感情をリヒに向けるようになっていった。その感情は膨れ上がり、兄さんに抱いていた以上になった。いつから変わったのかはわからない。ただ、見かけるたび日だまりのように微笑んでいる彼女に惹かれていった。大人しいわりにはっきりと意見を言うところなど、私は彼女の全てに惹かれた。だけどそれに伴って私の中にどす黒い感情も生まれていった。感情が膨れ上がるば膨れ上がる程、私は彼女に惹かれ、そして彼女を手にいれたいと思うようになっていった。会うたびに私の好きな日だまりのような笑顔で挨拶をしてくる彼女。彼女からしてみればそれはただの誰にでもする挨拶、その程度なのだろうけど、私はそれだけで心が踊るようだった。だけど、だからこそ彼女が私以外にその笑顔を向けるのを見ると、向けられている相手が憎らしくて仕方がなかった。そう、ただの挨拶程度でも許せない私にとって、あいつは最大級に憎悪の対象だった。あいつは彼女に愛されていた。私や他の誰にも向けられない笑顔を唯一向けられていた。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。あいつなんていなければいいのだ。あいつがいる限り彼女は私を一生愛してはくれないだろう。邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔。私の心はズキズキと痛む。痛くて痛くて痛くて。彼女が笑顔を向けてくれた時だけは痛みが消えた。けれど、彼女が私以外に笑顔を向けたのを見ると痛みはさらにいっそう激しくなった。私は独り考えた。考えに考えた。考えれば考えるほど苦しくなった。哀しくなった。私の鼓動の音だけが聞こえていた。辛かったが涙は出なかった。なにもせず。ただ考えた。そして、ついにある日私は一つの結論に至った。わかってしまえば簡単なことだった。とてもとても簡単な答え。私は導き出した答えのもと行動し始めた。順調に事は進んだ。なんの障害も失敗もなく、私の予定通り進んでいった。あとは仕上げだけ。最後の仕上げ。それをするために私は彼女の家を訪ねた。数日前に訪れた時は会わなかった彼女に今日は会った。会わなければ意味がないのだから。会って当然なのだけれど。彼女はやはり笑顔で私に挨拶をしてきた。けれど彼女の顔には疲労の色が色濃く残っていた。それでも嫌な顔一つ見せず彼女は私を家にあがらせてくれた。リビングで向かい合い座る私とリヒ。私は最後の仕上げをすべく彼女に話しかけた。


「ねぇ。私、あんたが好きよ。」

「…えっ?」

「愛してるって言ってるのよ。」

「……愛してる?」


驚いたように目を丸くしている表情はとても愛らしかった。私は驚く彼女に構わず言葉を続ける。


「リヒ、愛してるわ。あんたはどう?」

「でもナターリヤさんはイヴァンさんのことがお好きなのでは…?」

「兄さんなんてもうどうでもいい。今の私はあんたが一番好きなのだから。」

「う、嬉しいですが、私は兄様が…」


頬を染め俯く仕草も愛らしい。だけど兄様なんて聞きたくない。そんな答え私はいらない。


「私はあんたが望むならなんだって叶えてみせる。兄さんだって姉さんだって誰だって殺せる。それほどにあんたを愛しているの。」

「私そんなこと望みません!」

「あらそう。それであんたは私を愛してくれるの?」

「そ、それは……ごめんなさい。…私は兄様を愛しています。だから」


そのあとの言葉は聞きたくない。私は立ち上がり彼女の唇に人差し指を当てて彼女の言葉を制した。


「だったらあいつがいなくなればあんたは私を愛してくれるわね?」


リヒは、先程よりもさらに驚いたようにして目を丸くする。さぁ、私の望む答えを聞かせて。私は彼女の唇から人差し指を離す。彼女はすぐにその形の良い唇から言葉を紡ぎ出した。


「例え兄様がいなくなっても私は兄様を愛し続けます。だから、私は貴女を愛することはできません。ごめんなさい。」


嗚呼、その答えじゃない。私の望む答えはそれではない。ズキズキズキズキと私の胸は心は痛みだす。彼女がこんなに側にいるのに、私の痛みは消えない。しばらく部屋を静寂が支配する。聞こえるのは彼女と私の鼓動の音だけ。それはだんだんと耳障りになってくる。


「そう。だったら私の努力はなんだったのかしら。」

「……努力?」

「来なさい。私の努力の成果の一部を見せてあげる。」


私がそう言って部屋を出ると少し遅れて彼女も出てきて私の後ろをついてくる。彼女が私の望む答えをくれたならば私はこんな行動をとらなかっただろう。私の彼女とそしてあいつの家のなかを迷うことなく進んでいく。そして、ある場所に到着した。リヒは来たことが無いというのはあいつから聞いている。案の定彼女はこの場所のこんな場所の存在に驚いていた。こんな地下牢など彼女には縁も所縁もないだろうから。私は地下牢の一つの鍵を開けると彼女に入るように促す。暗くて中がよく見えないためだろう、彼女は少し躊躇ってから牢に足を踏み入れた。私は彼女のあとについて牢に入り、角にある燭台の蝋燭に火を灯した。牢の中が明るくなりそこに倒れているモノがはっきりと見えた。


「イヤァアァァアアアァアアア!!!!!!!!兄様!!兄様!!」


そこに倒れていたモノ、彼女の兄であったモノを見て彼女は悲痛な叫び声をあげる。数日前から行方不明だった兄との再開なのにそんな悲痛な声をだすことはないのに、と思った。喜ぶべきではないの。


「兄様!兄様!!起きてください!イヤです!私を置いて逝かないでくださいまし!!」


兄だったモノを抱き締めて泣き崩れる彼女に対して私は言葉を紡いだ。


「これが私の努力の成果の一部。」

「うっ、ひっく、な、なんでこんな酷いことを。」

「あんたを愛してるから。あんたを手にいれるのには邪魔だったから。それに、私とあんたが結ばれるための生け贄になれたんだからこいつも兄さんも幸せなはず。」

「貴女は貴女の兄まで殺したと言うのですか?!」

「それがどうしたって言うの?あんたと私のためよ。」

「ふざけないでください!絶対絶対に許しません!!憎んで憎んで憎み続けます!!」


その時、リヒの口から憎むという言葉を聞いた瞬間。私の中で何かが壊れる音がした。それは妙に澄んだ音だった。その後私の視界は真っ赤に染まった。気づいた時には、彼女は血溜まりに沈んでいた。ドクドクと後から後から血が流れ出てくる。私の手も服も彼女の血で濡れていく。温かくてまるで彼女に抱き締めてられているような錯覚に陥る。そうだったのね。あんなまどろっこしい努力なんてしなくても、最初からこうしていれば良かった。そうしたら彼女の口から憎むなんて聞かなくてすんだもの。私はやっと私のモノになってくれた彼女の体を抱き上げると牢から出る。さぁ、これから二人で風呂に入って汚れを落とさなければならないわ。それから二人で食事して夜は一つになるの。明日起きたら愛してるから1日を始めて、二人でゆっくりしましょう。それからデートなんかして二人っきりで愛を育みましょう。ねぇ、リヒ愛してるわ。いつの間にか耳障りだった鼓動の音は聞こえなくなっていた。







動かぬ肢体と壊れた道化

(ずっと一緒にいましょうね。)





















タイトルが逸脱だと俺は思う。

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